フランキー・アンド・ザ・ハートストリングス

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FRANKIE & THE HEARTSTRINGS

20年後に改めて振り返っても
誇りに思えるような作品づくりを目指している

かつてフューチャー・ヘッズやフィールド・ミュージックなどの好バンドも輩出してきた、英国サンダーランド出身の新人バンド、フランキー・アンド・ザ・ハートストリングス。

オレンジ・ジュースやジョセフKといった80年代バンドたちの流れを強く汲んだ、青臭くも情熱的な歌詞世界と、毒や捻りもありながら軽快で引き締まったギター・ポップ・サウンドは、NMEをはじめとした媒体からも好評を博し、気が付けばすでにその人気はイギリスばかりかアメリカにも飛び火しそうな勢い。

間違いなく日本でもウケそうな音だし、フロントマンであるフランキー・フランシスの端正なルックスながら負けん気の強そうなキャラもたまらなく愛くるしい。これまでリリースしてきたシングルからの曲を集めた日本独自編纂のミニアルバム「Ungreatful」も先ごろリリースされ、さあこれでブレイク間違いなし...と思いきや、残念なことに出演が予定されていたブリティッシュ・アンセムが中止に。

不慮のアクシデントに見舞われてしまった彼らだが、当初の予定どおりに来日を果たし、こうしてインタヴューを敢行することができたのは嬉しかった。記事を読んでいただければおわかりのとおり、若いバンドは発言もフレッシュ。笑いの絶えない楽しいインタヴューとなった。今回はメンバーのキャラクターやバンドの個性を知ることに焦点を当て、話を聞いてみた。

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photo by Yuji Honda


はじめまして。クッキーシーンです。昔は雑誌だったんですけど、今は主にWEB上で活動しています。

Dave Harper(以下D):うんうん、見たことある。

Frankie Francis(以下F):僕もあるよー。

え!?

D:今回、取材されることになったからかどうかは忘れたけど、前に知人からクッキーシーンの記事のリンクを送られたことがあるよ。

驚いた(笑)。今回が初来日ですよね。まず最初に、読者に向けて、名前とパートをそれぞれ紹介していただけますか?

Michael McKnight(以下MM):僕はマイケル・マックナイト。バンドではギターを弾いているよ。(*赤毛で童顔。可愛らしいルックス!)

D:デイヴ・ハーパー。ドラム担当。(*彼は若い新進バンドのなかで年上の存在。30歳を超えている)

Steve Dennis(以下S):スティーヴ・デニス。ベースさ。(*黒い長髪とヒゲがワイルド。ややニヒリストっぽい雰囲気)

Michael Ros(以下MR):僕はマイケル・ロス、通称ミック 。キーボードとギター担当。(*レコーディングでは元ケニッキーのPete Goftonがキーボードを担当していたが、ツアーではそのパートを彼が務めているようだ。インタヴュー中では大人しい様子が印象的だった)

F:フランキー・フランシス。バンドの"声"だよ。

とてもカッコいいバンド名だと思います。結成までのいきさつを教えてください。

F:僕とマイケルとデイヴがもともと友人どうしで、スティーヴと僕、デイヴとニックもそれぞれ知り合いだった。それで地元のサンダーランドでバンドを結成したんだ。僕らの地元には、自分たちが心から楽しめたり感情移入できたりする音楽がなかったから、ならいっそ自分たちでそういう音楽を作ってみようと思いたったのが結成のきっかけ。で、いざ活動してみたら地元以外からも自分たちの音楽に共感してくれる人がいるのがわかって、今ではこうして日本にも来れるようになったんだよ。

フランキーはベースを弾くのがヘタすぎで、それでヴォーカルを担当することになったと聞いたんですが。

全員:(大爆笑)。

F:待って待って、君なんで日本にいるのにそんなこと知ってるんだよ(笑)! ああ...、残念だけど事実だよ。一応、バンドを初めたから弾いてみたんだけど、二回練習してみてやっぱり上手く弾けないから、ヴォーカルに転向したんだ。今はデニスがきちんとベースを弾いてくれている。

D:まあ、フランキーはベースだけでなくてお店できちんと"お勤め"するのも苦手みたいだけどね(笑)。

F:いやあ驚いた。君はベスト・リサーチ賞を受賞だね(笑)。

サンキュー。お仕事の話が出てきましたが、みなさんは今までどんなところで働いていたんですか?

F:オックスファム(*貧困に生きる人びとがその貧困から抜け出せるよう支援することを目指し、英国オックスフォードの住民が設立した民間団体)の古着を扱うチャリティ・ショップで働いていた。

S:僕はH&M。今日の服装(皮ジャン)を見てごらんよ。ぜんぜんそれっぽくないだろ(笑)?

D:10代のホームレスのお世話する仕事してたよ。僕もその仕事を始めたころは家がなかったんだ(笑)。

MR:僕はレコーディング・スタジオ...。

MM:素行が悪いキッズばかり集めた学校でがんばってたよ。バンドマンらしいお仕事だろ(笑)? 初めは勉強を教えるために働くつもりだったんだけど、とにかく日々ケンカを抑えることで精いっぱいだった。

へー。みなさんもやんちゃそうにも見えますが、ケンカとかします? バンドマンといえば殴り合いですよね。

F:ケンカはするけど、兄弟ケンカみたいなものさ。バンドのメンバー相手にもときどき熱くなったりするけど、まあ、そんなようなものさ。

D:僕には兄弟っていなかったから、こういうノリは新鮮だよ。

F:ケンカといっても、次にラジカセに入れるCDを誰が選ぶかで口論するとか、そのていど。かわいいものだよ。

(クッキーシーンのTOPページを見せて)エドウィン・コリンズいますよね。彼とはTwitter上でも頻繁にやり取りしたり、相当仲良しみたいじゃないですか。エドウィンがミニ・アルバム収録の「Ungreatful」もプロデュースしていたり、彼の新作『Losing Sleap』にも参加したり。みなさんはエドウィンとどうやって知り合ったんですか?

S:エドウィンはあの曲だけじゃなくて、僕らのフル・アルバムのプロデュースもしてくれたんだ。

MR:来年にはリリースされると思うよ。

MM:僕らがインタヴューとかで彼の名前を挙げてリスペクトしていたのを、どうも彼は読んでくれてたみたい。それでTwitterやMySpaceを通じて連絡があったんだ。自分のことを若い人たちがどう思っているのかに興味がある人なんだと思う。僕らの曲も気に入ってもらえたし、僕らはもともと彼の大ファンだし...ということで自然とやり取りが始まって、彼のマネージャーを通じてアルバムのプロデュースもお願いしたら本当に引き受けてもらえたんだ。すごく嬉しかったよ。

そのエドウィンの息子、ウィルともすっかり仲良しになったそうですね。最近ツアーの物販を彼は手伝ってくれていると聞きましたが。

D:これまたすごいリサーチだね。僕らのことスパイしていたんじゃないの? もしかして今履いてるパンツの色までお見通しかな(笑)?(*さらにおそるべきことに、彼が物販を担当したUKツアー、グラスゴーでのライヴ・レポがここで読めます!)

F:エドウィンのスタジオに行くと、ウィルはいつもすることがないみたいで、ヒマそうにベーグルを食べながらフラフラしているんだ。そこで、(エドウィンの妻である)グレースに「コイツにもっと世のなかの役に立てるようなことをさせてみようぜ」と提案して物販担当に担ぎ出してみたら、思いのほかいい仕事をしてくれてね。ツアー中にフランキー&ザ・ハートストリングスのTシャツを購入すると、もれなくエドウィン・コリンズの息子と話ができる! 営業的にも申し分のない話だろ(笑)?

編集長の伊藤はエドウィンの日本盤リリースの際にA&Rとして関わっていたんです。それで5歳のウィルにパワーレンジャーのTシャツをプレゼントしたそうなんですよ。

MR:へー、そうなんだ。

MM:それだったらアイツ、今でも着ているよ!

全員:(大爆笑)

ひどい(笑)。ところで、エドウィンが好きという点でもそうだし、音楽性においても、あなた達とザ・ドラムスには少し近いものを感じました。彼らとも対バンしたことがあるそうですね。

MM:うん、一回だけね。彼らの音楽ももちろん好きだよ。ライブは僕たちのほうがうまいと思うけどね。君の言うとおりでエドウィン好きというのもシンパシーを覚えるし、もっといっしょにツアーを回ってみたいな。

D:よくミックステープを作って、ツアー移動中の車のなかでかけてるんだけど、彼らの曲はいつもかかってるよ。

F:エドウィンの新作のなかでも一番いい曲でザ・ドラムスのジョナサンが歌ってるんだよね(*「In Your Eyes」と思われる)。エドウィンと僕らはこれからいっしょにツアーすることになっていて、そのあいだはジョナサンのパートを僕が歌うことになったんだ。

あなた達もザ・ドラムスも、エドウィンのみに限らず、80年代やそれよりもっと昔の音楽からの影響を色濃く感じます。どうしてそういった音楽を聴くようになったんですか?

MM:うーん...(考え込む)。

F:ぜんぶデイヴの趣味さ! 彼は年寄りだし(笑)!

D:(苦笑)みんな音楽好きだし、レコードを集めるのが大好きなんだよ。各自で物色しまくって、それで気に入ったものをリハーサルのときとかに持ってきて、みんなで貸し借りし合うんだ。で、「●●ってバンドの××は、前に▲▲にいたんだ」といった感じでどんどん掘り下げていくわけ。

そういえば、「ビートルズは聞き飽きた」みたいな発言をしている記事も見かけましたけど。

F: 「"bigger than Jesus" and "better than the Beatles"」とか書かれたんだっけ。

MM:ガーディアンの記事でしょ? 自分たちが積極的に新しい音楽を見つけていこうとする姿勢について説明するための表現だよね。子供のころも、ビートルズやストーンズってテレビやラジオをつければ必ずかかっていたから。

D:彼らももちろん素晴らしいんだけど、それ以外の、努力して掘り下げないと出会えない音楽にも刺激や魅力がたくさんある、ということが言いたかったんだ。

ここからはミニ・アルバム「Ungreateful」について聞かせてください。まずはジャケットのデザイン。いいですよねー。雪降るなかで、労働者がジっとコッチを見つめている光景とか...。このジャケのみに限らず、あなた達の過去のシングルのジャケもどれも素敵だと思いました。

MM:気に入ってもらえて嬉しいよ。この写真は80年代半ばの、僕らの地元の様子を実に見事に捉えた写真なんだ。音楽をやっていくにしても、こういうアートワークとか、自分たちのイメージ、美的感覚みたいなものを大事にしていきたいと思っているし、そういう考えに基づいてこの写真を選んだんだ。今回のミニ・アルバムに収録された各楽曲にも、80年代におけるイギリス北東の様子を強く意識したテーマが貫かれている。

D:この写真はキース・パターソンという人物によるものだ。イギリスにも炭鉱業が産業として栄えていた時代があって、そこから他のものにシフトしていくなかで炭鉱はどんどん閉鎖され、ストライキが多く起きた。それがだいたい80年代なんだけど、その時期に彼は炭鉱夫やその家族の家に泊まり込んで、ユニークな観点で写真を撮り続けた。その作品が僕らにも訴えかけるものがあるから採用したんだ。

今、話されたような美意識って、80年代つながりというわけでもないですけど、レコード・レーベルでいえばあなた達も好きであろうポストカード辺りのそれに通じるものがある気がします。やはり影響を受けていたりしますか?

F:ポストカードから出たレコードはたくさん聴いたし、あのレーベルが持っていたDIY精神は自分たちも大事にしているものだけど、真似をしようと思ったことはないよ。

D:物まねではなくて、彼らの精神を引き継いで拡張しているんだと思う。あのレーベルが遺した業績をとても尊敬しているよ。

MM:たとえばポストカードから出ていた作品のジャケって、バンド名を隠しても、パっと見て「あ、オレンジ・ジュースのレコードだ」みたいにすぐわかるよね。自分たちのもそうありたいと思うね。

D:スミスもそう。レコード屋の隅に置いてあっても、すぐそっちに目がいってしまう。何か訴えかけるものがないとだよね。だから僕たちも、20年後に改めて振り返っても誇りに思えるような作品づくりを目指しているし、それにすごくこだわっているんだ。

収録曲に目を向けると、まず目につくのは「Needles In The Camel's Eye」。今のブライアン・イーノの高尚な作風とは遠くかけ離れた、けっこうバカっぽい曲ですよね。どうしてこの曲をカヴァーしようと?

F:おもしろい曲だとおもったから。元々カヴァーってそんなしないんだけど、この曲はちょっとヘンテコリンだし、いいヴァージョンが作れるんじゃないかと思って挑戦してみた。ちなみに、このカヴァーがCDで聴けるのは日本だけなんだよ。

D:イーノって今みたいなアンビエントとかサウンド・スケープみたいな作風のものばかりじゃなくて、すばらしいポップ・ソングを過去にたくさん作っていたからね。(「Needles~」が収録されている)『Here Come The Warm Jets』は本当にすばらしいアルバムだと思うし、あれをロキシー・ミュージック名義でリリースしていたら大ヒットしたと思う。

F:まあ、イーノも最近はお金に困ってそうじゃない(笑)? そうでもないのかな。とにかく、これで少しでも彼に印税が入ればと思ってね。

あはは。「Ungrateful」のエクステンデッド・ミックスのほうは、オレンジ・ジュースとジョセフKを足したような印象です。

F:ジョセフKとの比較は10点満点だね! 実は僕らもそんなふうに思っていたんだ。80年代後半~90年代前半くらいに、12インチ・シングルのB面に長いヴァージョンを収録するのが流行ってたでしょ? ニュー・オーダーとかさ。あれへのオマージュのつもり。エクステンデッド・ミックスのほうに曲の原型がより残されていると思う。デモ時点の「Ungrateful」は本当にジョセフKっぽかった。

「Tender」からはヴァイオレント・ファムズを連想しました。

S&MR:ああ、それもそのとおりだね。

ヴァイオレント・ファムズはアメリカのバンドですよね。あなた達の音楽は実にイギリスっぽいですけど、アメリカの音楽も聴いたりします?

F:もちろん聴くよ。アメリカの音楽だって大好き。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドとかバンドの全員が好きなんじゃないかな。

D:一国の音楽しか聴かないだなんてもったいない話だよ。それって柔軟な姿勢がとても欠如していると僕は思うね。アメリカにだってボニー・プリンス・ビリーのようなすばらしい音楽があるし...。

F:ドイツにもクラフトワークがいるし。

MR:音楽っていろいろな時期、ムーブメントがあるよね。アメリカからすばらしい動きがあったかと思えば、次はイギリスから...とかね。

D:アメリカからストロークスが出てきた、MGMTが出てきた、オブ・モントリオールが出てきた...みたいな動きがあると、それが他の国に飛び火して、また新しい動きが生まれる。インディ・テニスとでも呼ぶべきね。とにかく、リスナーとしても積極的な姿勢を持ち続けることは意識しているよ。

どの曲も、歌詞にもサウンドにも捻りというか、鋭いナイフのような毒がありますよね。「Ungreatful」のPVにおけるフランキーの眼光も鋭くて怖かったけど、それに通じるようなものがある気がします。

F:「Ungreatful」は、別れるのが怖いからという理由だけでいっしょにいる、だけど別れるのがベストだって気づくに至るまでの感情を表現した曲だね。

D:PVも歌詞もそう。フェイクってみんなすぐ見抜くものだよ。別に法を犯しているわけでもないし、フランキーの姿勢って大胆だけど誠実でかなりアリなんじゃないかな。 

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自分たちでPop Sexなんてレーベルを運営していたり、「Sex Crimes」なんて曲も収録されていたりしますけど、みなさんSEXがお好きなんですか?

F:イエース!...いやいや、ノー(笑)。

D:イギリス人にそんなの愚問だよ(笑)。スポーツ氏の記事だってエロネタばかりだし、国民性だと思ってるよ。(両手の親指を突き出して)カモン、僕はいつでも準備OKさ! そういうネタについてなら、君のように僕らもリサーチはぬかりないよ。

あはは(笑)。

D:ちなみに「Sex Crimes」はビリー・チャイルディッシュの書いた小説(*ジ・ヘッドコーツのリーダーとしてや、多才/多作ぶりで知られる英国のベテラン・ミュージシャン。小説は『Sex Crimes Of The Futcher』のことと思われる)をテーマに扱った曲なんだ。あれはタイトルほど卑猥じゃない、大真面目な曲だよ。

F:Pop Sexってネーミングもキャッチーさを意識して、割と軽い気持ちでつけたんだ。

なるほど。そうそう、日本の女の子にも興味あります?

F:日本にはまだ着いたばかりだけど、すごい国だよね。

MM:夜に少しだけ出歩いたんだけど、とにかくみんなファッショナブルだよ! 僕らの地元、サンダーランドって短パンに穴のあいたTシャツにビーチサンダル、みたいなのがふつうで、みんなオシャレとかに無頓着だからね。

D:それに言葉は汚いかもしれないけど、あばずれっぽい格好をしている女性が多いんだ。日本は違うね。みんな清楚に思えたよ。

F:日本人のガールフレンドはまだそんなにいないけど、これから何泊かするからそのあいだにたくさん知り合えるといいな(笑)。

S:ここで話してることってネットに載るんでしょ? 彼女が日本語読めない人でよかったよ(笑)。

「Tender」のPVでクネクネ踊ってるフランシスがとってもセクシーでした。この曲も含めて、どれもシンガロングしやすいですよね。そういうのって意識してます?

S:一番すばらしいポップソングって、聴いたら瞬時に頭に叩き込まれる曲のことだと思うよ。

D:日本に来る前はNYでライブしてきたんだけど、ギャングみたいなガチムチのお兄さん達が僕らの曲を口ずさんでいるのを聴いて、「うわー、信じられない」って驚いたね(笑)。

MM:すばらしい曲って、信じられないくらい完璧なフレーズがひとつあって、それにプラスで18くらいの最高のフレーズの組み合わせによって成り立っていると思う。他のフレーズも重要だけど、そのなかでもひとつ、ありえないくらい輝いているフレーズが必要で、そこから名曲は生まれるんだよ。

D:誰だって好きな曲があって、それが目の前で演奏されていればいっしょに歌いたいと思うでしょ? そう思わないヤツは心のなかがどうにかしているんだよ。

ライブも凄そうですよね。YouTubeなどでいろいろ観てきましたが、相当の自信をもっているのではないですか?

F:うん、自信あるよ。特に心がけているのはどのライブでもとにかく全力投球するということ。フェスの出番が一番最初でも、観てくれたお客さんが「最初のあのバンド、よかったね」って思ってくれるように常に全力で臨んでいるんだ。

M:一番前で盛り上がってくれている人たちに対してもそうだけど、後ろの方で腕組みしてステージを眺めている人たちのことをメチャクチャ意識しているね。そういう人たちにこそ「どうだ!」と見せつけてやりたい。

D:今はまだ僕たちも出たてだからね。興味本位で「どれどれ?」と観に来た人たちみんなに強烈なインパクトを植え付けていきたい。「こいつら、なかなかやるな」って思われるようにね。

では、最後の質問です。フランキーの髪型はジェームス・ディーンを意識しているそうですけど、もし変えるとしたら次はどんなふうにしたいですか?

F:どうだろうねえ。昔は長髪だったんだよ。肩までかかってるツェッペリン風。先のことはちょっとわからないな...。まだ未定!

S:(映画『ターミネーター』の)ジョン・コナーも意識しているよな?

F:あはは(笑)。あと、少し前髪が伸びるとスウェードの頃のブレット・アンダーソンみたいにもなっちゃう。

D:ポケモンの数と同じくらい、フランキーが髪型をコロコロ変えれば日本でも人気出るかもね(笑)。

          *          *          * 

 このインタヴューを取材した翌日の10月25日、彼らのフリーライブが渋谷タワーレコードにて催された(ちなみに、24日にはアコースティック・スタイルでのライブも行われた)。正直、今の時点では彼らの認知度はまだまだだろう...と勝手に踏んでいたが、耳の早い音楽ファンはきちんと彼らのことをチェックしていたよう! すでに定評のある彼らのライブを一目見ようと、フロアは大勢の観客で溢れかえっていた。 

 「ザ・ドラムスよりライブはうまい自信がある」というフランキー・フランシスの弁を借りるまでもなく、開演一発目の「Possibilities」から一気に観る者をグイグイ惹きつけていく。ドラムスのジョナサンのようなオーバーなアクションはないが、熱唱するフランキーの飾らない佇まいは実に熱っぽい。続く「Tender」も「Possibilities」同様にミニアルバムには未収録の楽曲だが、ひたすらキャッチーでそんなことお構いなしに盛り上がる。ブリティッシュ・ロックのファンでグっとこない人はいないだろうと言いたくなるような、スマートで熱いショウが繰り広げられていく。

 各メンバーがマイクを囲んで朗々とアカペラするイントロから、一気にハードな演奏へと雪崩れ込む「Tender」(個人的には、このイントロでザ・フーの「A Quick One, While He's Away」をなんとなく思いだしてしまう...)や、続く「Want You Back」もライブではよりメリハリがついて素晴らしかったが、何より圧巻だったのはこのあとで、ハードでアップテンポな楽曲が立て続けに叩きこまれる。何度もブレーキとアクセルを交互に踏まれ、最後に大爆発するパンキッシュな「It's Obvious」から、ジャングリーなビートとシンガロング対応型なメロディの融合が最高に気持ちいい「Ungrateful」までの怒涛の展開がこの日のハイライトだろう。

 バンド演奏はドラムのデイヴとギター/キーボードのミック、バンド内での年長者ふたりが肝のようだ。特にデイヴのタイトなドラム・プレイがバンドのグルーヴと、速いナンバーでも演奏が破綻しない安定感を生んでいたし、小気味良いスネアのブレイクが何発も決まる。新人バンドながら演奏達者に思わされたのは彼の力が大だろう。 

f&ths_3.jpgphoto by Yuji Honda


 続く「Don't Look Suprised」でフランキーは客席へと飛び込み、彼周辺に熱狂の渦が出来あがる。さらに上着を脱いで熱唱された「Hunger」のころには、コーラスに拍手に合いの手にと客席も自然に一体感が生まれ、最後の「Fragile」はミディアム・テンポながらメロー一辺倒に陥らないヘヴィなバラード。バンド最初期のシングルに収録された楽曲だが、ここまでの流れの最後にこういう曲も用意できるなんて...。懐の広さに感服し、聴き入るというのもちょっと違う感慨深い気持ちで見守ってしまいそうになったが、サビのブレイクには盛り上がらずにもいられず...。なんてイキの良さだろう。1時間弱のステージは、これが入場フリーだなんて申し訳なくなるほどの満足度。

 閉幕後の客席は笑顔で満ち溢れていた。興味本位でなんとなく来てみた...という人も、ここまで見せつけられたらさすがにグウの音も出ないだろう。きっと彼らはまたすぐ日本にやってくるはずだ。この夜のパワフルなアピールが生んだ熱はあっという間に伝播していくに違いない。ミニ・アルバムに収録されていないシングル曲も結構あるし、フル・アルバムもまもなく控えている...。正直、新人として扱うにはちょっと別格だ。これはもう、2011年は彼らの年になるかも...なんてね。


2010年10月
取材、文/小熊俊哉


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フランキー・アンド・ザ・ハートストリングス
「アングレイトフル」EP
(Yoshimoto R and C)

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