こうふのまちの芸術祭2010 曽我部恵一&テニスコーツ「どうしておなかがすくのかな」at 甲府市 桜座 2010/09/25

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こうふのまちの芸術祭とは、山梨出身・在住アーティストと市民とが協力して行っている芸術祭。曽我部恵一、そしてテニスコーツによるこのライヴは、そのイベントのひとつとして行われた。

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 会場の桜座は、5年前にガラス工場跡を改修して作られた。精神的なルーツはかつて明治から昭和初期にあった芝居小屋『櫻座』。会場に入ると、一面の畳敷きに小屋の空気を感じ、それでいて鉄骨に代表されるかつて工場であった後も生々しく残っており、強烈なエネルギーを感じた。

 まずはテニスコーツ。ギターを爪弾きながら植野が登場し、竹の筒で出来た楽器をもったさやが続けて登場。会場を動きながら、静かに演奏していき、観客もじっと聴き入る感じになっていく。近作を中心に演奏していたが、パステルズとの共作『Two Sunsets』からの曲に特に強さを感じた。しみじみ聴いていると、「にんげんっていいな」を踊りも付けて入れてきて、一気に会場が和む。ラストは最近シングルとしてリリースされた「バイババビンバ」を。ここで曽我部恵一が登場。会場から息を呑む音が聞こえてきた。植野と共に滋味溢れるプレイでさやの歌声を包んでいた。と、ここでさやが遊び心を発揮し、前列の観客何人かに向かってコーラスを振る。植野は勿論、曽我部にまで振っていた。

 休憩を挟み、代表の方と実行委員の方が挨拶。イベントへの思いが伝わってくる、短いながらも良い挨拶だった。「King Of Mellow Rock、曽我部恵一」との呼び込みとともに登場。

 序盤はソロを中心として、サニーデイ・サービス、曽我部恵一BANDからも選曲を。弾き語りであることの身軽さが感じられる選曲だったと思う。演奏も時に優しく時に力強く。このイベントの性質もあるのか、地方都市でのライブと言うこともあるのか、観客と近いフレンドリーな雰囲気に包まれていたように思う。

 会場前方にいたちびっこに語りかけていたことも興味深かったが、何といってもサニーデイ・サービスについて自然に語っていたのが興味深かった。メンバー間の関係を含めて意外に昔と変わっていなかったという。曽我部恵一にとってはやはり特別な存在であるのだろう。個人的に、先日のツアー初日のセットリストに新譜からの選曲が少なかったことに若干の違和感を感じていたのだが、そのことはバンドが今後も続いていくからこそなのだろうと考えるようになった。

 セットリストを控えていなかったので大まかな流れの紹介しかできないのは了解されたい。序盤は各活動からバランス良く、中盤は新譜(ソロ作『けいちゃん』)からの曲を中心に、後半は「夏の夜の夢」(『けいちゃん』)「青春狂走曲」(曽我部恵一BAND『キラキラ!』)「魔法のバスに乗って」(『キラキラ!』)「サマー・ソルジャー」(サニーデイ・サービス『サニーデイ・サービス』)といった怒濤の流れ。

 ライブ後は、21時の特急で帰る予定を終電に変更して物販で地元の方とコミュニケーションをしていた。感無量といった感じのお客さんが印象深く、地に足が付いたコミュニケーションの重要性を感じた。

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