THE LOVE LANGUAGE『Libraries』(Merge) [reviews]

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love_language.jpg ローカル・ネイティヴスを観に来たつもりだった。9月のシアトルのダウンタウンのライブハウス。オープニング・アクトの2バンドのうち、後に出て来たのは、やけにドラマーの身長が高いニヒルな笑みを浮かべるイケメンたちと紅一点のキーボーディストがいるバンド。サウンド•チェックもメンバーが行っており、「よくある西海岸のオルタナ・バンドか」などと僕も特別な関心を抱かずに、その光景を眺めていた。
 
 しかし、ライヴが始まると突如、凄まじい轟音を鳴らし、先ほどまでの笑みは消え、一心不乱に各々の楽器をかき鳴らすメンバー。最初の曲こそ、どちらかと言えば、オーソドックスなオルタナティヴのフォーマットに乗っ取った曲だったが、ライヴが進行していくにつれ、インディ・ポップ、シューゲイザー、ドリーム・ポップと様々なジャンルを横断するレパートリーの曲が立て続けにプレイされる。メンバーも、時には楽しげにしているかと思えば、次の瞬間には、真剣な眼差しのまま暴れ回っている。そのステージは、バンド編成も相まって、僕にソニック・ユースやスーパーチャンク、あるいはペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートといったバンドのそれを彷彿させた。「何だ、このバンドは?」ライヴ中盤には既に、僕はローカル・ネイティヴスの事を半分忘れたように、このバンドに夢中になっていた。ライヴが終わると物販に走っている自分さえいた。
 
 長くなったが、このバンドこそ、ザ・ラヴ・ランゲージである。

 最初のサウンド・チェックの時の僕の印象とは違い、彼らはアメリカ東南部、ノースカロライナ州チャペルヒル出身のバンドだ。チャペルヒルと聞けば、すぐに、あるバンドとそのメンバーが経営するレーベルを思い浮かべることが出来るリスナーは、お目が高い。スーパーチャンクと、マージ・レコードだ。そう、このザ・ラヴ・ランゲージもマージ・レコード所属の新人で、スーパーチャンクのフロントマン兼マージのオーナーであるマック・マクガワンが彼らを聴くや否やお気に入りバンドの一つになり、マージ入りしたと言う逸話がある。このアルバムはそんなマージとの関係で初めてリリースされるセカンド・アルバム。
 
 さて、アルバムはと言うと、これが一聴するとライヴの雰囲気とはまるで違って驚きを隠せなかった。もちろん、先述の要素は含んでいるのだが、どれもどこか中途半端な印象がある。しかし、ライヴの時には感じられなかった60'sに通じるような、どこか古くさくもサイケなテイストが、彼らの本来持っているインディ感と相まって、斬新に聴こえて良い。特に「Horophones」などは現代のシューゲイザー・リヴァイヴァルを通過した後のシーンの感覚とフォーキーな感覚が合わさって異色のメロディーを聴かせてくれる。ありそうでなかった組み合わせに、面白みは存分に感じられる。
 
 しかし、あえて言おう。このアルバムは、彼らの魅力を全てはパッケージングし切れていない。もちろん、彼らの魅力の大きな一部分はここにある。しかし、僕がライヴで観聴きしたような、あの新しいUSインディーが生まれる時の音は残念ながら、あまり聴く事ができない。ライヴでは開けた印象だったが、このアルバムはどこか全体的に閉じているような印象を与えるのもその一因かも知れない。もし、彼らの音源を気に入ったなら、是非、ライヴを視聴するなり、実際に足を運ぶ事を強くお薦めしたい。もしくは、僕がライヴで観た時に「日本人の耳にも絶対に届くはずの、届くべきサウンドだ」と思ったように、静かに来日を心の片隅で願って待つのも良いかも知れない。
 
 彼らが、このアルバムの異色の感覚とライヴで魅せてくれたような感覚を合わせられて、提示する事に成功したならば、彼らは新しい感覚を僕たちに届けてくれるバンドの一つになる事は間違いない。そう思いながら次作を期待していたい。

(青野圭祐)

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このページは、伊藤英嗣が2010年10月11日 16:38に書いたブログ記事です。

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