October 2010アーカイブ

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SUPERCHUNK

9年間あまり活動していなかった間もサポートしてくれたファンを
驚かせてエキサイトさせるようなものを作りたかった


スーパーチャンク・イズ・バック!!! 昨年リリースされた「Leaves In The Gutter」EP(日本盤はライヴ盤が付いた二枚組)や、最高だった来日公演からも予想出来た通り、9年振りのニュー・アルバム『マジェスティ・シュレッディング』は、21年目のバンドだとは思えないくらい若々しくてエネルギッシュな傑作に仕上がっている。ヴォーカル/ギターを担当するバンドの中心人物であり、マージ・レコーズのボスでもあるマック・マコーンにいろいろな話を聞いた。

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EDWYN COLLINS

レコーディングのやり方からも
本当にオリジナルな音が生みだされてきてると思う


日本では、元オレンジ・ジュースの中心人物ということから、いわゆる「ネオアコ」イメージでとらえられることの多いエドウィン・コリンズだが、正直「日本におけるネオアコ・イメージ」とオレンジ・ジュースは、相容れない部分も少なくなかった。たとえば今このサイトに掲載されているインタヴューだけでも、マニック・ストリート・プリーチャーズザ・ドラムスが嬉々としてエドウィンについて語っている...なんて事実からも類推されるとおり、彼が80年代以降現在に至るさまざまなバンドたちに与えた影響は、あまりに大きい。

90年代なかばには、傑作シングル「A Girl Like You」を含むサード・ソロ・アルバム『Gorgeous George』を世界中で大ヒットさせている。その曲が1994年から1995年にかけてのオン・エア・チャートを席巻しまくった本国UKやヨーロッパ(当時UKにいる機会が多かった筆者だが、本当にもうそこらじゅうでかかっていて、びびった)はもちろんのこと、アメリカでもバーナン(Bar/None)という極小インディーからのリリースでありながら全米トップ40に食い込み、ビルボードなど業界誌でも騒ぎになっていた。ここ日本でも、メジャー傘下ながら最初はインディー・ディストリビューションで数千枚を売り切り、少しあとにメジャー・ディストリビューションで数万枚単位の再発がおこなわれた(筆者=質問作成者がやっていたレーベルだし、数字的にもまったくウソはないですよ:笑)。

00年代に入ると、その90年代に自ら設立したスタジオでリトル・バーリーやザ・クリブスのプロデューサーとしても敏腕をふるいつつ新しいアクションが期待されていた。ところが今から数年前、突然脳出血で倒れ、存命さえあやぶまれていたのだが、ついに奇跡の復活をとげた。

そして最高のニュー・アルバム『Losing Sleep』を完成させた!

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まずは、すでにユーチューブにアップされている、アルバム・タイトル曲「Losing Sleep」のクールなモノクロ・ヴィデオ・クリップを見て/聴いてほしい。

この曲のレコーディングに参加した(リトル・バーリーの)バーリー・キャドガンも映っているようだ(彼らの音楽は好きだけどヘヴィーなファンではないので、はっきりわからなくて、すみません:汗)。そして、エドウィンの作品には『Gorgeous George』のころからずっと参加している(90年代なかばの、今のところエドウィンの最後の来日公演にも同行した)元セックス・ピストルズ、ポール・クックの勇姿も!

アルバム『Losing Sleep』全体には、ポールやバーリーのみならずザ・クリブスのライアン、同じく現ザ・クリブス/元ザ・スミスのジョニー・マー、ほかにもザ・ドラムスや(同郷グラスゴー出身で、オレンジ・ジュースの再発をドミノがおこなっていることを考えた場合レーベル・メイトともいえる)フランツ・フェルディナンドの面々、さらには盟友ロディー・フレイム(=アズテック・カメラ)といったキラ星のようなミュージシャンたちが参加して、エドウィンをいい形で盛りたてている(ちなみに、取材後にCD現物を見て気づいたのだが、元アズテック・カメラのドラマーでフリッパーズ・ギターの作品でも叩いていたデヴィッド・ラフィーも参加している。同名異人でなければ)。

というわけで、このアルバムおよびエドウィンの現状にせまるべく、電話インタヴューをこころみた。エドウィンと並んで、グレース・マックスウェルという女性も登場している。

彼女はエドウィンの「姉さん女房」的存在。エドウィンとにあいだにひとり息子がウィリアムがいる家庭内のみならず、ソロ・アーティストとなってからのエドウィンの音楽活動面もずっと仕切ってきたマネジャーだ。90年代に先述の大ヒットを飛ばしたあとも、エドウィンはビッグなマネジメント・オフィスとは契約せず、プライヴェート・マネジメント・スタイルで、DIY的に活動をつづけている。グレースは、公私ともにエドウィンのよきパートナーであり、脳出血後の最初は朦朧とした状態から始めてエドウィンが作りあげた新作『ルージング・スリープ』の、ある意味最も重要なスタッフといえるだろう。

基本的に「反保守派」であるエドウィンは、90年代なかばの段階でも、彼女との「籍」を入れていなかった。今はわからないけれど...というか、日本盤ライナーノーツ(無署名ではあるが力の入ったいい原稿。おそらく海外のライター氏によるものだと思う)によれば、エドウィンが脳出血で生死のあいだをさまよったあと、最初に発することができた言葉は「グレース」「マックスウェル」「イエス」「ノー」だけだけだったという。泣ける話ではないか。

OMD

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OMD (ORCHESTRAL MANOEUVRES IN THE DARK)

年寄りがつまらないレコードを作るのは
彼ら自身がつまらない気持ちでレコードを作るからだよ


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オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ダ・ダーク...闇にまぎれたオーケストラ的戦略...、略してOMD。そう名乗る彼らは、70年代末にリヴァプールから登場したエレクトロニック・バンドだ。ほぼ同時期にシェフィールドから登場した初期ヒューマン・リーグやキャバレー・ヴォルテール、エセックスで結成されたデペッシュ・モードが今も一定の評価を受けているのに比べ、彼らに勝るとも劣らない素晴らしさだったOMDの知名度が、現在とくに日本で低すぎるのはなぜだろう?

その理由は、なんとなくわかる。たとえば出世作となった1980年のシングル「Enola Gay」には、広島に原子爆弾を投下したアメリカの戦闘機の名前をタイトルに冠するなど、その一見脳天気なメロディーとは相容れないテーマ性が隠れていた。逆に、60年代の有名なポップ・ソングからタイトルだけを拝借した1984年の「Locomotion」という曲(これだけ有名な曲のタイトルを「パクる」なんて並の神経ではできない:笑)が入っていたポップかつエクスペリメンタルな傑作アルバムは『Junk Culture』と題されていた。なんて素敵なタイトル! こういった、ちょっとねじれた皮肉っぽさが、「単純にクール(だということがわかりやすい)」ものを求める層には理解しづらかったのかもしれない。

彼らの魅力のひとつは、ポップかつキャッチーであること。だけど、アイディア一発のエクスペリメンタルなサウンドも刺激的。1981年の傑作アルバム『Architecture & Morality』などには、はかない美しさも漂っていた。OMDの音楽は、ある一定のイメージでとらえることがむつかしい。80年代を代表する青春映画『プリティ・イン・ピンク』で使用された1986年の「If You Leave」も、あまりにヒットしすぎた。オリジナル・アルバムには入っていない、サウンドトラックからのシングル・カット・オンリーだったこの曲の大成功が、彼らのイメージをさらに拡散させてしまった。超名曲だと思うし、いまだに大好きなんだけど...。

1979年のデビュー・シングル「Electricity」は、最初マンチェスターのファクトリー・レコーズから出たあと、メジャー傘下レーベルから新ヴァージョンが再リリースされた。このヴィデオは、当時の、いわゆるポスト・パンク的なノリをよく伝えている。あのままファクトリーにいつづけたら、今も「クール」な存在と目されていたのだろうか? 歴史に「もしも」はないとはいえ、よくわからない...。

そんな彼らが、80年代の全盛期のラインアップで活動を再開していたことは寡聞にして知らなかった。しかし、突然届けられた(このラインアップとしては)24年ぶりのニュー・アルバム『History Of Modern』が、マジで、いい!

80年代前半まで(ヴァージン系に移籍したあとも)彼らのアートワークを手がけていたピーター・サヴィル(ジョイ・ディヴィジョンやニュー・オーダーなど、ファクトリーの一連の作品のアートワークで知られるデザイナー)と27年ぶりに組んだことも注目される。とりあえず、リード・シングル「If You Want It」のオフィシャル・ヴィデオをチェックしてみてほしい。この、実録ドキュメンタリーなのかアートなのか悪ふざけなのかよくわからない感じも、実にOMDっぽい(というか、最高!)。

そして、少しでも彼らに興味を持ったら、是非以下のインタヴューを読んでみてほしい。ちなみに、キーンとか、(ヒューマン・リーグやキャバレー・ヴォルテールと同じくシェフィールドから登場した:笑)アークティック・モンキーズなんてバンド名も、インタヴュー前半の重要なキャラクターとして登場。他にも、ファクトリー・レコーズ主宰者であった故トニー・ウィルソンのエピソードとか、いろいろ出てきますよ!

2010年10月

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  • フランキー・アンド・ザ・ハートストリングス

    20年後に改めて振り返っても誇りに思えるような作品づくりを目指している

  • ゴールド・パンダ

    僕は歌詞とかヴォーカルがなくても、"曲"ってものを作りたいんだ

  • ハンネ・ヴァトネ

    私は旅行しているような気分でプレイしたいの

2010年10月1日

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paraelle_live_6.jpgall 
photos by Takanori Kuroda

2010年9月28日

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ash_2.jpg 2週間に1曲リリースし続けるという「A-Z」シリーズでは、いまのアッシュが持つサウンドのパターンみたいなものを確認することができる。まずはこの企画の口火を切った「Return of white rabbit」、今回の「Vo.2」に収録されている曲のなかでは「Binary」「Instinct」に代表される電子音の大胆な導入。決してエレクトロ方面へシフトしたわけではなく、例えばキーンの「Everybody Changing」に使用されていた程度の丁度良い塩梅。ティムの声との相性のよさも際立ったし、ダンサブルなチューンはフロアでも威力を発揮した。もうひとつはいくつかの曲で採用されている比較的長い尺のエモーショナルなギター・ソロ。彼らは永遠に純粋なギター・バンドなんだ、と安心できるし、年月を経ても大人の渋いバンドにはならず、いつまでもティーン("心は"ティーン、の人も)を熱狂させ続ける身近なヒーローの役割を買って出たような印象も受ける。もちろん「Change your name」のようなアコースティック・バラッドだって涙が出るほど素晴らしい。

 ウィーザーも最近新作を短いスパンで出して元気だし、イギリスでもアメリカでもこういうバンドが存在感を失わない、というのは何というか、健全という気がする。だって、ややこしいことは抜きでさ、こういうキャッチーでノリノリでクールなバンドはみんな好きだよね(そういえばウィーザーだけじゃなくて、フィーダーもシャーラタンズも、長い間頑張ってきたバンドたちがいま再びモチベーションを上げてきている、というのは頼もしい事実だ)。

 今回の「Vol.2」で一応シリーズは完結したわけだが、最後までテンションを落とすことなく本当に「シングル・レベルだけ」をリリースし続けたのは、まさにネット時代のパイオニアと呼ぶに相応しい。そして彼らは普通であれば何年も悩んでやっと一枚のアルバムを作ってツアーをまわって築き上げていくようなバンドの新しいアイデンテティを、こんな短期間で手にしてしまったのだ。次が楽しみで仕方ない。もはやアッシュ・ファンにとって共通のアンセムが「Shining light」ではなくなってしまったかもしれない。今回の「A-Z」シリーズでアッシュの大ファンになった若いファンも大勢いるだろう。アルバムというフォーマットの可能性を信じ一枚で素晴らしい物語を演出するバンドもいる一方で、アッシュはそれに早々と見切りをつけた。かつてビートルズやモータウンのグループが奇跡のようなシングルをリリースし続けた時代に想いを馳せ、誰もが口ずさめてハートがキュッと締め付けられるようなポップ・ソングを書き続けた。素敵じゃないか。

(長畑宏明)

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ra_ra_riot.jpg ボーカルのウェス・マイルスがヴァンパイア・ウィークエンドのギタリスト兼キーボーディストのロスタム・バトマングリと、ディスカバリーというエレクトロ・ユニットで活動していることなどでも注目を集め始めていた彼ら、ラ・ラ・ライオット。しかし、それも一部の熱心なUSインディ・リスナーに限られており、まだまだ日本では無名の存在だったが、ここにきて、彼らへの関心の幅はどんどん広がっている。それは、ひとえにASIAN KUNG-FU GENERATIONが企画するイベント、NANO-MUGEN CIRCUITの前座として全公演で彼らが抜擢され、各地で名演を繰り広げたことと、そのアジカンのフロントマン、後藤正文による新レーベル、only in dreamsによるファースト・アルバムの国内盤がリリースされたことが大きいだろう。間違いなく、このチェリストとバイオリニストを携えたニューヨークのバンドは日本にじわじわと浸透していっている。

 勢いが増していっている中、満を持してリリースされるこのセカンド・アルバム、『ジ・オーチャード』は、彼らが出演したシアトルのライヴレポでも書いたように、前作『ザ・ランバ・ライン』より、よりダイナミックなサウンド。10曲中、9曲をデス・キャブ・フォー・キューティーのクリス・ウォラが、1曲を先のロスタム・バトマングリがミックスを担当している。
 
 前作より豊満になったサウンドではあるが、それはふくよかさといった表現のそれとは少し違う。このアルバムのサウンドを例えるなら、誰もいないキャンプ場、夜の闇が深まったロッジの中で、窓からその闇が濃くなるのを眺めている感じ、だろうか。要するに、前作より豊満になったのは、妖艶さだ。確かに、「Boy」などのアッパーなチューンもあるが、アルバム全体を覆う空気はどんよりとしながらも頭を冴えさせるような暗がりのトーン。特にそれが表れているのが、中盤の「Massachusetts」や「You and I Know」といった場面だろう。これらのムードは確実に、新たに彼らが獲得したものだ。
 
 そして僕は前作を聴いた限りでは、彼らの楽曲はそれぞれ曲単位で、どこかスロー・スターターというか、盛り上がりどころが少し遅れているんじゃないか、と思う部分もあったのだが、このアルバムの楽曲はどれもコンスタントに盛り上がっていて(あるいはコンスタントに盛り下がっていて)、それもクリアしていて良い。しかし、前作に比べると、アルバム全体を通して聴くと平坦で、どこか物足りなさも感じてしまうところもある。彼らの世界観が徐々に構築し始めている事を存分に感じられる作品であるだけ、そこは少し残念だが、それも含めて彼らの道程なのだろう。ここから向かう先に期待しつつ、彼らの躍進をチェックしていたい。

(青野圭祐)

*日本盤は10月27日リリース予定。その前に、彼らの最新インタヴューが10月20日ごろにはこのサイトにアップされる予定です!【編集部追記】

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amusement_parks_on_fire.jpg イギリスで活動している、現在5人組編成のアミューズメント・パークス・オン・ファイアの新作である。ミキサーを変更させること14人、制作に4年を費やし、どこかマイ・ブラッデイ・ヴァレンタインのエピソードを彷彿とさせないでもないが、前作に比べ、アレンジの幅や音の厚みが明らかに向上している。
 
 今、新しい世代のシューゲイザーバンドの、いわゆる出世作からの次の一手が次々に登場している状況にあると思う。スクール・オブ・セヴン・ベルズはよりクリアで鮮明な世界観を表しているし、ディアハンターはより深い陶酔を感じさせる、妖しくも美しい名盤を作り上げた。ただ、アミューズメント・パークス・オン ・ファイアの例を挙げる前にあらかじめ断っておくと、彼らはシューゲイザーという括りを嫌っている。サウンドにおける共通項はマイ・ヴィトリオールや、昨年に2ndアルバムを出したシルヴァーサン・ピックアップスなどのバンドが一聴して頭に思い浮かぶ。シューゲイザーを含む当時の90年代オルタナ・シーンの影響下にある バンドといった方が正しいかもしれない。
 
 そこで彼らである。前作『Out Of The Angels』をリリースしたことで一気に知名度が世界的に高まった。しかしどこか、アレンジの多彩さに欠け、また1曲の尺が長い曲が多くそれを活かせていないような印象も受けたのも事実だった。今作は、曲の構成がコンパクトになり、より全体を通じて聴き通しやすくなった。そして重さと厚みを増したブリザードのようなギタ ーはそのまま、音の説得力を引き上げることに成功している。彼らは間違いなく強度を高め進化したといえる。ただ作風自体に大幅な変化は見られず、期待も予想も裏切ることなく、完成度が高められていると言える。ここまでの順当な成長は予想通りだとしても果たして次作は...? という懸念が拭えないというのも事実。 
 
 ところで、このCD、買うならぜひ日本盤を手に入れることをお薦めしたい。ボーナス・トラックの、先行配信されたEPのタイトルにもなっている11曲目「Young  Fight」という曲が素晴らしい。轟音で空間を埋めるギターは影を潜め、あくまで歌を引き立たせるために後ろに配置されることで、メロディーの良さが浮き彫りになっている。このアルバムの最後を飾る美しい曲に、彼らの新しい可能性を感じた。

(藤田聡)

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