アミューズメント・パークス・オン・ファイア 『ロード・アイズ』(Filter / Yoshimoto R&C)

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amusement_parks_on_fire.jpg イギリスで活動している、現在5人組編成のアミューズメント・パークス・オン・ファイアの新作である。ミキサーを変更させること14人、制作に4年を費やし、どこかマイ・ブラッデイ・ヴァレンタインのエピソードを彷彿とさせないでもないが、前作に比べ、アレンジの幅や音の厚みが明らかに向上している。
 
 今、新しい世代のシューゲイザーバンドの、いわゆる出世作からの次の一手が次々に登場している状況にあると思う。スクール・オブ・セヴン・ベルズはよりクリアで鮮明な世界観を表しているし、ディアハンターはより深い陶酔を感じさせる、妖しくも美しい名盤を作り上げた。ただ、アミューズメント・パークス・オン ・ファイアの例を挙げる前にあらかじめ断っておくと、彼らはシューゲイザーという括りを嫌っている。サウンドにおける共通項はマイ・ヴィトリオールや、昨年に2ndアルバムを出したシルヴァーサン・ピックアップスなどのバンドが一聴して頭に思い浮かぶ。シューゲイザーを含む当時の90年代オルタナ・シーンの影響下にある バンドといった方が正しいかもしれない。
 
 そこで彼らである。前作『Out Of The Angels』をリリースしたことで一気に知名度が世界的に高まった。しかしどこか、アレンジの多彩さに欠け、また1曲の尺が長い曲が多くそれを活かせていないような印象も受けたのも事実だった。今作は、曲の構成がコンパクトになり、より全体を通じて聴き通しやすくなった。そして重さと厚みを増したブリザードのようなギタ ーはそのまま、音の説得力を引き上げることに成功している。彼らは間違いなく強度を高め進化したといえる。ただ作風自体に大幅な変化は見られず、期待も予想も裏切ることなく、完成度が高められていると言える。ここまでの順当な成長は予想通りだとしても果たして次作は...? という懸念が拭えないというのも事実。 
 
 ところで、このCD、買うならぜひ日本盤を手に入れることをお薦めしたい。ボーナス・トラックの、先行配信されたEPのタイトルにもなっている11曲目「Young  Fight」という曲が素晴らしい。轟音で空間を埋めるギターは影を潜め、あくまで歌を引き立たせるために後ろに配置されることで、メロディーの良さが浮き彫りになっている。このアルバムの最後を飾る美しい曲に、彼らの新しい可能性を感じた。

(藤田聡)

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