シャーラタンズ『フー・ウィ・タッチ』(The End / Imperial)

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charlatans.jpg 僕は新しいものが大好きで、レコードショップに足を運んでは、面白そうなレコードを掘っている。その一部をクッキーシーンでレヴューさせてもらったりしてるけど、今回はシャーラタンズ。僕はシャーラタンズを熱心に聴き込んでいるわけじゃないけど、新作『Who We Touch』は凄く良い。シャーラタンズは言わずと知れた、マッドチェスターによって出てきたバンド。一応僕自身親父とお袋の影響で、マッドチェスターはギリギリ、リアルタイムで体験している(といっても、2歳か3歳くらいだったんで、当時の記憶としてはほとんど覚えてないけど)。それでも、808ステイトとか、ア・ガイ・コールド・ジェラルドにジェイムス、少し遡ってストーン・ローゼズとかは覚えている。嫌と言うほど聞かされたから。しかしなぜかシャーラタンズだけは記憶になく、僕がシャーラタンズの存在を知ったのは、ケミカル・ブラザーズ『さらばダスト惑星』でティムの声を聴いたのがきっかけ。そこから『Between 10th And 11th』を聴いたりして、好きになっていったんだけど、初期のアルバム以外は、友達にアルバムを借りて聴くくらいだった。

 だけど、『Who We Touch』を聴いてから、今更ながらシャーラタンズにハマってしまった。まず、『Who We Touch』に漲るピュアな空気と音楽に驚かされる。ティムのヴォーカルもそうだけど、これおっさんに出せるようなアルバムではないよ。全体的にサイケ色が強くて、すべての音が、煌びやかな輝きを放っている。ティムのヴォーカルは、すごく若々しいんだけど、「Your Pure Soul」などで覗かせる大人の色気にはドキッとする。かと思えば、「Love Is Ending」のような、荒々しい曲もある。僕が好きな、シャーラタンズ特有のうねるグルーヴもあるし、はっきり言って、ツボしかありません。なぜシャーラタンズが、長く活動していながら、ここまでの新鮮さや瑞々しさを保っていられるのか? それは過去のアルバムを聴き返して分かったんだけど、シャーラタンズのアルバムには、同じものがひとつとしてない。常に変化を求めて音楽を作っている。人間生きていれば変化するのは当たり前だけど、自分で変化する方向を定めて、その変化を、ちゃんとアルバムに良い形で反映させるのは、よほどのタフネスがなければできないことだ。

『Who We Touch』には、そんなシャーラタンズの力強い足跡が刻まれている。僕はストーン・ローゼズの太く短い偉大なる伝説に惹かれるし、実際ローゼズが大好きなんだけど、シャーラタンズの怠惰に陥らずに一歩ずつ歩き続ける姿に惹かれたりもする。マニックスの新譜もそうだったけど、僕より上の世代が、シニシズムに走らず、愚直なまでに前身する姿。僕も見習わなきゃいけないかも。「世界は複雑だから」という言葉が、ある種の言い訳として作用し始めている今、シャーラタンズのように(それからマニックスのように)、理屈ではなく、シンプルな気持ちで生きていくやり方というのが、カウンターとして機能しているのが面白く感じる。「シャーラタンズが生きていける世界は、もしかしたらまだまだ悪くないのかも知れない」。アルバムで鳴っている音とは裏腹に、そんなちょっとした希望が宿っている、熱いアルバム。それが『Who We Touch』。

(近藤真弥)

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