ROSE ELINOR DOUGALL『Without Why』(Scarlett)

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rose_elinor_dougall.jpg 水玉模様の服を着て、「Judy」や「Dirty Mind」でリード・ヴォーカルをとっていたのはもう3年前。ピペッツは分裂し、オリジナルメンバー3人はそれぞれ別の道へ。そして、ローゼイこと、ローズ・エリナー・ドゥーガルはソロとしての道を選び、ついにデビュー・アルバムが完成した。元気一杯なかつての音楽性は跡形もない。代わりにあるには、愁いを帯びた彼女のルックスにふさわしい作品だった。

 基調となっているのは、ロネッツやシャングリラズといった60年代ガールズ・グループのポップネスと、モータウン風のリズムセクション。だが、ピペッツとの音楽性を避けるかのように、やんちゃなポップ・ソングは一切ない。何より違うのはヴォーカルだ。「等身大の女の子」だったピペッツ時代とは違い、一貫して気品が漂っている。そのちょっぴりさびしそうな歌声は、花に例えるならコスモスといったところだろう。

 また、「Come Away With Me」や「To The Sea」を始めとする、収録曲の多くではスコット・ウォーカーやアーサー・リーを思わせるバロック・ポップの要素を導入、結果、まるで夜のメリーゴーラウンドのように幻想的なきらめきをたたえている。もちろん、楽曲のバラエティはそれだけにとどまっていない。「Carry On」ではロックに振り切ってくれているし、「Another Version Of Pop Song」ではオ・ルヴォアール・シモーヌを思わせるキーボードが歯切れよくメロディを刻んでいく。

 クラシックさにこだわりつつ新たな挑戦が感じられる、ソロとしての活動が実りあるものであったことを証明するアルバムと言えるだろう。最近ではマーク・ロンソンと共演し、着々とソロとしてのキャリアを築いている彼女。もう「ローゼイ」とは呼ぶなかれ。今の彼女は以前とはまったく違うのだから。

(角田仁志)

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