スーパーチャンク『マジェスティ・シュレッディング』(Merge / P-Vine)

|

Superchunk.jpg なんて真っ直ぐでブレや曇りの無い音なのだろう。本格的な再始動の口火を切ったた昨年のEP「Leaves in the Gutter」、そして感動的だった昨年末の来日公演、それぞれで共通して感じたのは彼らの音楽に対する変わらぬ熱量だったのだが、実に9年振りのフル・アルバムとなる本作ではそれがさらに濃縮され、一気に解放されたような爽快感を感じる。

 アルバム冒頭の先行シングル「Digging for Something」からほぼ全編に渡って疾走感のある、彼らならではの印象的なギターリフが散りばめられた楽曲が並んでおり、全体的なイメージはパンク色の強いマタドール在籍時代の初期の作品に近いのだが、ストリングスやホーンを取り入れたアレンジやコーラスワーク、すぐに口ずさみたくなるようなキャッチー、かつ泣きのメロディラインなど90年代後半以降の作品にある要素も随所に見られる。どこを取っても聞き覚えのあるスーパーチャンクのサウンドなのだが、初期のエネルギッシュな勢いと熟成されたサウンドの融合が実現している本作は不思議なくらい新鮮に響いてくる。これはもうスーパーチャンク・サウンドの完成形と言ってしまっていいのではないだろうか。

 アルバム最終曲(日本盤は別途ボーナストラック収録)「Everything at Once」でマックはこんな風に歌っている(※僕の個人的な見解も入った意訳です)。「これはあることないこと全て一緒くたになった歌だ。フィードバックやドラム、それらのノイズを感じることで全てが一つになる」。この曲の歌詞がこのアルバムの素晴らしさを表現しているように感じる。彼ら4人が集まり、一斉にノイズを奏でるだけ。単純なことだが、そこから生まれる音楽のマジックを彼らは本作で証明してくれている。メンバー自身も本作の出来に自信を持っているようで、マックからは早くも次回作の製作に関するコメントも出てきている。今後の彼らのさらなる活躍に期待大。

(川名大介)

retweet