DISCLOSURE「Offline Dexterity」7" (Moshi Moshi)

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disclosure.jpg 僕は最近「なぜインターポールを好きになれないか?」が分かった。インターポールがゼロ年代の音楽シーンに与えた影響は認めるし、彼らは商業的な成功も収めている。でも、僕にはインターポールがポストパンクのコピーバンドに見えてしまう(特に『Turn On The Bright Lights』期は)。ちなみに、「コピー」と「パクリ」は違う。「コピー」は文字通り複製だけど、「パクリ」は拝借、若しくは「引き継ぐ・受け継ぐ」といった意味合いがあると思う。そういう意味では、音楽の歴史はパクリの積み重ねで作られてきたともいえる。ルーツ・ミュージックと言われているブルースやカントリーだって、20世紀の発明品に過ぎないし、当然ブルースやカントリーの前にだって、音楽はあった。

「コピー」は音楽を広めることはあっても、発展させることはない。その「コピー」する対象に「なること」が目的だからだ。そういう意味で、僕はインターポールを好きにはなれない。しかし「パクリ」は、パクる対象の音楽を「やること」が目的だ。その「やること」には、「自分」が入り込む隙間があると思う。だから「パクリ」は音楽を発展させるのだ。そしてその「パクリ」に入り込んだ「自分」が、やがてオリジナリティを獲得していく。ビートルズだってレディオヘッドだってそうだ。みんなパクリなのだ。

 そしてディスクロージャーのデビュー・シングルである。はっきり言って、ツッコミどころがありすぎるくらいたくさんのパクリがある。UKガラージを基本として、エイフェックス・ツイン、オウテカ、オービタル、ジ・オーブなどなど。でも、お茶を濁す的に誤魔化して、「なんちゃってオリジナル」になることもなく、「だって好きなんだもん」というふてぶてしい感じも(アーティスト自身がふてぶてしい性格かは分からないけど)、好感を持てる。なんだか、ケミカル・ブラザーズをパクッたアトミック・フーリガンを思わせる(まあ、彼らの場合パクるセンスがイマイチだったけど)。グローファイやチルウェイヴに多く見られがちな、「好きなことをやってやる!」と肩を張りすぎて、結果的に趣味性が強すぎる内省的でつまらない音楽をやるバンドやアーティストが多いなか、こうした「軽さ」というのは、新鮮に映る。肩の力を抜いて、新しいセンスを見せつけてくれるのは、最近だとハドソン・モホークくらいでは?

 音自体は、決して新しいというわけではないのだけど、圧倒的なセンスが、すべてをOKにしてしまっている。そして、そのセンスというのが、なんとなくインディ的な香りを漂わせている。そこが、クッキーシーンの読者の琴線に触れるかも。「センスが大部分を占めている音楽は好きじゃない」という人もいるだろうけど、そこは大目に見て、まずは聴いてみてください。先に挙げたビートルズやレディオヘッドだって、最初はセンスが大部分を占めていたんだから。

(近藤真弥)

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