サマー・キャンプ「ヤング」 EP(Moshi Moshi / Vinyl Junkie)

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summer_camp.jpg「Dear, Dear, Dear... I, I. I... You, You,You...」、というオープニングのフレーズを聴いた瞬間、僕はこのバンドに夢中になった。ロンドンの、サマー・キャンプのデビュー・シングル「Ghost Train」だ。ドリーミーなプロダクション、キッチュな電子音、明快なメロディ、そして何よりこみ上げてくるノスタルジア。ウォッシュト・アウトを思わせるグロー・ファイ/チルウェイヴと、ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートのようなトゥイー・ポップのセンス、更にはヴィヴィアン・ガールズやダム・ダム・ガールズなどから感じられるDIY精神など、現代のUSインディの流れを汲んだサウンドながら、受ける印象は決して、「今」じゃない。まるでタイムスリップしたような感じを受けた。実際、PVもそのイメージ通りで、海辺で繰り広げられるピュアなラヴ・ストーリーともやがかかったような映像はクラシック映画そのものだった。ネットにアップされた彼らの情報は瞬く間に広がり、UKのみならずUSにおいても大きな注目を集めることとなった。

 そのサマー・キャンプによる初のEPがこの「Young」だ。結論から言ってしまえば、「Ghost Train」での期待を全く裏切らない、素晴らしい内容の6曲(日本盤はボーナス・トラック2曲収録)だった。スウィートなコーラスとダンサブルなビートいんシングルとなった「Round The Moon」(この曲のPVもロマンチックな映画風)でEPは幕を開け、スロウなテンポの「Veronica Sawyer」、「パッパパパ・・・」というコーラスが耳につく「Why Don't You Stay」などの曲が並ぶが、どれもノスタルジアに満ちた素晴らしい内容。まるで、過ぎてしまった夏を惜しむかのように、思い出がフラッシュバックさせる1枚だ。

 ジェレミー・ワームスレーとエリザベス・サンキー。この2人がサマー・キャンプのメンバーだ。ジェレミーは、ミステリー・ジェッツやエミー・ザ・グレイトなどと親交があり、既に2枚のアルバムをリリースしているSSW。一方のエリザベスは『Platform Magazine』をいう雑誌でガーリィな記事を書くライター。インディの流れを肌で感じ、またカルチャーを知る2人だからこそ、の楽曲なのだろう。彼らの出自を知ったときにはなるほど、と感じた。

 すでに、ザ・ドラムスやスロウ・クラブのオープニング・アクトとしてステージを重ねている彼ら、次はアルバムをよろしくお願いします。

(角田仁志)

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