クッキーシーン・ナイト 2010/09/16 レポート

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もともとクッキーシーン・ナイトというヤツを始めたのは、たしか00年代初頭。ぼく(クッキーシーン編集人伊藤)は90年代後半まで、ライターやZINE編集者をやりつつ、フリーランスでA&Rもやっていた(社員でもなんでもなかったけれど、メジャー傘下でレーベルを主宰、かなり活発に活動してた)。そのうえ90年代前半までは自分もバンドをやっていたため、クッキーシーンを始めるまでは、かなりの頻度でライヴ・ハウスに通ってました。

だけど、クッキーシーン創刊とほぼ同時に、上記レーベルが「会社の都合により」終わってしまった(ぼくのレーベル単体では何百〜千万円単位の黒字を出していたはずだけど、おそらくそれ以上の赤字を出していた親セクション全体がつぶされてしまったので。結局ほとんどお金ももらえないまま...:笑)。クッキーシーンは洋楽中心雑誌だし、以前ほどライヴ・ハウスに行けなくなってきた...まだあまりよく知らないバンドにも、いいものはたくさんあるはず、ぼくもそれを見たいし、みんなにも見てほしい...。10年前には、そんな感じでクッキーシーン・ナイトというイベントを数回開催しました。

それ以降、イベントに熱心だった編集部員が辞めてしまったり、クッキーシーンがある程度軌道にのったということなのか雑誌編集自体が死ぬほど忙しくなったりで、00年代前半から、しばらくできずにいました。それを、いろいろ思うところあって、昨年久々に復活させたところ、やっぱりおもしろい! でも、また半年くらいできていなかった。長年(約10年くらい)つきあってきたディストリビューター(株式会社ブルース・インターアクションズ)を離れ、まったく新しい形で始めること自体が忙しくて、ちょっとそれどころじゃなかったというか...。

今もまだそんな感じ(不安定な状態:笑)ではあるんですけど、「まだあまりよく知らていないバンドながら、とくにライヴは死ぬほどいい」と断言できるパラエル・ストライプスが新譜を出す、でもってぼくの自宅からそれほど遠くない名古屋でもライヴをやることは決まってる...けれど対バンが未確定...という状況を受け、彼らの新作のレコ発(レコード発売記念。ライヴ・ハウス用語ですね。最近はリリース・パーティーという言葉のほうが一般的なのかな?)ライヴにドッキングする形で、久々にやらせていただきました!

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水面あがる。とフームー(Fu-Mu)という2バンドは、会場となったライヴ・ハウス、池下アップセットの紹介。カレシ(Kareshi)は、パラエル・ストライプスのリリース元ディスタイム・レコーズおよびぼく自身の推薦。パラエルはもちろんのこと、どのバンドの演奏も最高に素晴らしかった!

さらには、これまたかっこいいジョニー(Jonny)というバンドを地元でリリースしているワン・バイ・ワン・レコーズ柴山順次氏が最高のDJを披露してくれた! 途中「懐かしい!」(デイジー・チェインソウがかかったときね)とか、「あ、これなんでしたっけ?」(スーパーチャンクの新譜がかかったとき。いや、まだあまり聴きこめてなくて。そこで反応するのも、俺っぽいっつーか)ぼくも反応しまくり(笑)。

最近よく思うんだけど、たとえば昔クッキーシーン・ナイトをやっていた10年前とか、もっと前に比べて、ライヴ・ハウスでも「自分の目当てのバンドしか見ずに帰っちゃう」お客さんがふえてる気がする。情報の流れが尋常ではなく発達した現代ならではのことだとは思うし、それはそれで全然かまわないんだけど(笑)イベントやってるほうにしてみれば、ちょっと寂しい。この日も、もちろんそういう方もいらっしゃったけれど、なんか意外に少なくて、フロアも常にいい感じだったような...。来ていただいた方、楽しめましたでしょうか? ぼくは最高に楽しかったです。きっと楽しかったですよね(笑)?

ご来場いただいた方々、出演者のみなさん、スタッフ&関係者のみなさん、本当にありがとうございます! 最高でした!

というわけで、それぞれのバンドに対する簡単な感想を(アーティスト写真などは、このカテゴリの、前...下にある記事を参照してください)。

水面あがる。:ノイジーなハードさとポップさがいい感じで併存してて、エレクトロニクスの使い方も巧い。いわゆるポスト・ロックふうともポスト・パンクふうとも、まったく括れない感じの潔さが、とてもリアル。まだ学生バンドとのことだが、たしかにそういう若々しさがある。変速リズムをとりいれた最後の曲では、ぼくも80年代前半の学生時代にこういうことやってたなーとか(いい意味で)思い出しちゃったり...。とても良かった。いろんな要素をミックスする技術と強烈な勢いはすでにあるんで、そこに爆発的ななにかが加われば、よりグレイトになってくると思う。さらに、がんばれ!

フームー(Fu-Mu):キーボードやエレクトロニクスを駆使しつつ、ギターも弾く男性と、ときおりパーカッションを激しく叩きまくる男性ふたり組。前者は(ルックスやステージ・マナーが)ちょっとディアハンターのブラッドフォードを、後者は(同)LCDサウンドシステムのジェームズを思わせ、好感を持てた。というより、ここまで緻密かつパワフルなエレクトロニック・ミュージックをやっていながら、今まで存在を知らなかった自分を少し恥じてしまった。「アート」方面に行ってしまうそうなところを、ギリギリで踏みとどまっているような肉体性/ポップさも、完全に俺の好みだ!

カレシ(Kareshi):「ビーチ・ボーイズなどに影響を受けたD.I.Y.ポップ」バンドというのは、ぼくがライヴ・ハウスにもっともよく出入りしていた90年代からけっこう日本にいたけれど、今はこんなにクオリティ高いのか...と彼らのライヴを名古屋で見て驚いたのが数年前。今は中心人物が、ジョセフ・アルフ・ポルカというバンドと合体した形で活動をおこなっているらしい。彼を除く、ジョセフ単体でも1曲披露されたのだが(愛知といえば)ジョンのサン(というバンド。これも素晴らしい)を思い出させる感じで、良かった! カレシとしての存在感もばっちり。愛知県立芸術大学の学生さんというストリングスやホーンを加えた大所帯演奏も、完全にさまになっていた。グラスゴーのベル・アンド・セバスチャンふうといえばそうなのだが、海外のバンドが崇拝されるだけでなく、「日本の地方都市のこういったバンド」にも、もっと日が当たってほしいと強く思う(もちろんベルセバはぼくも大好きだが、どちらにしても「崇拝」反対!:笑)。

パラエル・ストライプス(Paraele Stripes):ぼくは昔からクッキーシーンで愛を吐露しまくってきたし、新人編集者小熊くんによる新作レヴュー&インタヴューもこのサイトに載ってるんで、もう敢えて言いませんが(笑)、この夜も最高でした。驚いたのが、今回からサポート・メンバーとしてドラマーが参加していたこと。これまで、彼らふたりだけ(ビートは打ち込み)によるライヴを何度か見てきた(計3回も。けっこう見てるな!)。最初は、その(リズムの)「ジャストさ」の魅力が薄れてしまい、普通のロックっぽくなってしまうのでは...と危惧したものの、1曲目の途中くらいから、そんなおそれはまったくないことがわかった...というか、また激しく盛りあがってしまった。ライヴで踊りまくってきた新作収録曲も、良くはなっていても悪くは全然なっていない。それどころか、2007年のファースト・アルバムに収録されていた曲は、あきらかにドラムが加わったほうがいい! まだ参加して間もないそうなので、この先の彼らがますます楽しみになってきた。彼らはいつも成長をつづけている。素晴らしいじゃないか。

このカテゴリの、前...下にある記事に、これら4バンドに関する情報がゲットできるサイト/ページへのリンクがあります。是非、彼らにご注目を!

最後に、ぼく自身がDJとしてプレイした曲のリストも掲載させていただきますね。

<開場後/開演前>早い時間はあまりお客さんが集まらず開演が押すかも? と思い、多めに準備していたんですが、水面あがる。は既に定評あるのか、まったく杞憂でした。ありがとうございます! というわけで予定どおり開演したため、準備したものより短めに(うれしかった)!

スティーリー・ダン「My Old School」、ヨ・ラ・テンゴ「Mr. Tough」、キャット・パワー「Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again」、ザ・ライク「Release Me」、キーン「Ishin Denshin (You've Got To Help Yourself)」、ザ・コーラル「More Than A Lover」、ロキシー・ミュージック「Editions of You」、ピクシーズ「Debaser」、ザ・ヴァセリンズ「Son Of A Gun」、クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤー「The Skin Of My Yellow Country Teeth」、カメラ・オブスキュラ「Lloyd, I'm Ready To Be Heartbroken」、ベスト・コースト「Crazy For You」、ザ・ドラムス「Forever And Ever Amen」、ラ・ラ・ライオット「Boy」、MGMT「Brian Eno」、アーケイド・ファイア「Empty Room」
*当該曲収録アルバムのレヴューが既に掲載されているものに関しては、そこにリンクをはりました。ヴァセリンズは新譜レヴューが掲載されてますけど、これはもちろん昔の曲。ラ・ラ・ライオットは、輸入盤はもう出てますけど、日本盤が10月リリース予定。もう少ししたら掲載されると思います!

<パラエル・ストライプス演奏前>大量のエレクトロニクス機材を使用する彼らは、セッティングに時間がかかる。だからタイムテーブルより少し長めにラフ選曲してあったんだけど、結局それでも足りずに(笑)、最後の2曲をその場で加えました!

アウル・シティ「Cave In」、デルフィック「Counterpoint」、ディーヴォ「What To Do」、LCDサウンドシステム「Daft Punk Is Playing In My House (Soulwax Shibuya Re-Remix)」、ダフト・パンク「Robot Rock」、ブロック・パーティー「Talons」、R.E.M.「I'm Gonna DJ」
*こちらはわりと古めのもの中心。ただしディーヴォは新曲です! 彼らのニュー・アルバムのレヴューはぼくが書こうと思ってるんですが、まだできてない...。すみません、近日中に...。

終演後には、ファウンテインズ・オブ・ウェイン、ナダ・サーフ、ティーンエイジ・ファンクラブ、オレンジ・ジュースなどを適当にかけてましたー。

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こんな感じで、オリジナル・コンセプトにのっとったクッキーシーン・ナイトか、(前からずっとやりたかった)DJのみのネオ・クッキーシーン・ナイト(別にそんな名前にしなくていいけど:笑)、もしくはその中間的な感じのものを、そのうちまたやりたいと思ってます。そのときは、どうかよろしくですー!

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