山本徹の場合は...

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 サマーソニック・大阪に行ってきました。ナダ・サーフやタヒチ80、フリーベースなど、東京会場のみ出演のアーティストがあったり、深夜のステージが無い分だけ昼間のステージの出演時間の被りが多いなど、少し残念な点もありましたが、大阪で大規模なフェスが開催されるというのは地元民としてはありがたいです。

8月7日(土)

 とにかく暑い日でしたが、ソニック・ステージ(屋内)に籠ることが多かったので楽でした。大阪のソニック・ステージの快適さは異常。

 最初に観たのはサーファー・ブラッド。「サーフ」つながりでニュージーランドのバンド、Surf Cityと対バンしていたりして、個人的に以前から注目していたバンド。シングル曲「Swim」をはじめ、耳に残るメロディーの曲の数々を、幾分ラフな演奏で聴かせてくれました。最後にはメンバー全員が客席に降りておおはしゃぎ。

 続いてファンファーロ。5人のメンバーで、トランペットやヴァイオリン、マンドリンからクラリネットまで様々な楽器を持ち替えながらの演奏。大所帯バンドのようなサウンドを、工夫しながら限られた人数で再現していた。何かとアーケイド・ファイアと比較されることが多いであろう彼らだが、単なる「似たようなバンド」という印象ではなく、彼らなりの個性やこだわりを、楽曲の節々に感じた。

 ファンファーロ終了後、パーク・ステージへ。この時間帯はダーウィン・ディーズやザ・ドラムスなどの出演時間が被っていて、いずれも観たかったのですが断腸の思いでフリー・エナジーを選びました。チープ・トリックからファウンテンズ・オブ・ウェイン、ウィーザーなどを連想させるパワーポップ・サウンドは、夏の野外ステージによく似合い、ひたすら爽快。「Free Energy」(曲名)は最高のキラー・チューン!

 再びソニック・ステージに戻り、バンド・オブ・ホーセズ。3枚のアルバムから万遍なく選ばれたベスト的なセット・リストで、名曲の数々をじっくり聴かせてくれた。ベン・ブリッドウェルの声はどこまでも伸びやかに、会場を包み込んだ。そろそろ単独来日を希望!

 続いて、ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブが登場。クールな佇まいは2年前に同じ場所で観たジーザス・アンド・メリー・チェインを思わせる。そして見た目に負けず演奏もクール。ひたすら爆音でプリミティヴなロックン・ロールを聴かせてくれた。

 この日初めてオーシャン・ステージへ。やはり一度はライヴを観ておきたい...ということで、スティーヴィー・ワンダーを。ステージいっぱいの大所帯のバンドに加え、コーラス隊やパーカッション隊が入れ替わり立ち代わり登場。完璧な演奏で繰り広げられる名曲の数々はただただ圧巻。スティーヴィーの歌声はもちろん素晴らしいのですが、ハーモニカが最初に鳴った時は身震いが止まりませんでした。

 終演後、大急ぎでピクシーズを観にソニック・ステージへ。到着するとちょうど「Debaser」が始まり、「Gigantic」「Where is my mind?」「Here Comes Your Man」と怒濤のヒット曲連発。大盛り上がりの中、一日目終了。

8月8日(日)

 二日目も屋内ステージを中心に。体力に自信の無い人にも優しいフェス、サマソニ。

 ハーツは正直なところ全く予備知識無しに観たのですが、完成された世界感を持った楽曲と、新人離れした圧倒的な表現力に引き込まれてしまいました。今後更に大きな存在になりそうな予感がします。

 意図的に「踊れる」バンドが並べられていた、この日のソニック・ステージ。「打ち込みを取り入れている」という共通項はあれど、それぞれのバンドの個性は千差万別。トゥー・ドア・シネマ・クラブは、この後の2バンドに比べ、ギター・サウンドが全面に出ていて、ロッキンな印象でした。

 個人的に思い出深いバンドが続きます。まずは4月に取材させてもらったデルフィック。単独公演でも熱気に包まれたライヴを観せてくれた彼らだが、この日は更に熱く盛り上がった。過去の来日ライヴの評判やFMでのヘヴィ・ローテーション、さらに彼らのルックスの良さやファッション・センスもひっくるめ、日本での人気が定着しているのを実感した。

 続いて、2月に取材させてもらったパッション・ピット。音源のイメージよりもずっと、ライヴでは体育会系な(?)彼ら。とにかくオーディエンスがひたすら踊り続けているのが印象的だった。近年デビューした新人バンドの中でも屈指のライヴ・バンドと言えるだろう。

 ペイヴメントを蹴って他のバンドを観るなんて、数年前の自分なら考えられなかったけど、先日単独公演を観たばかりということもあり、ペイヴメントは観ないでアーハ(A-Ha)を選んだ。80年代に世界中で大ヒットしたノルウェーの国民的グループとして知られる彼らだが、モートンの歌唱法やメロディーの節々に、北欧の若手バンドたちへの影響や共通点を感じた。「Foot Of The Mountain」「The Sun Always Shines On TV」といったヒット曲に沸き、「Hunting High and Low」のサビでは大合唱。もちろんラストは「Take On Me」で締め。バックのスクリーンに映されていた、イラストが動き出すPVは、25年の時を経てもなお色褪せず、斬新に映った。

 スカイ・ステージへ移動し、リチャード・アシュクロフト。EXILEを思わせる(?)坊主頭に吃驚し、黒人のリズム隊を擁するバンドの演奏にも吃驚させられた。「Lucky Man」「Bitter Sweet Symphony」など、ヴァーヴの曲も演奏。気がつけば、2年前のヴァーヴの演奏中と同じように、ステージは美しい夕焼けに包まれていた。

 そしてラストはパーク・ステージへ移動し、イールズ。スーツ姿のバンドメンバーと、白いツナギを着たE(全員髭でグラサン!)。ステージから551のアイスキャンデーを投げたりしながら、ラリー・ウィリアムス「She Said Yeah」(おそらくストーンズのカヴァー・ヴァージョンを下敷きにしていた)や、ラヴィン・スプーンフル「Summer In The City」のカヴァーなどを交え、痛快なロックンロール・ショーを繰り広げてくれた。

 大阪会場はシャトルバスが混むなど困った点はあるものの、少ない荷物で気軽に行ける都市型フェスはやはり快適。高校生や大学生など、あまりお金の無い若者にも行きやすい、広く門戸の開かれたロック・フェスとして、今後も多くの人々にライヴの楽しさを伝えて欲しい。

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