スプツニ子「生理マシーン、タカシの場合」Music And Short Film

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menstruation_machine.jpg <生理マシーン>とは、女性特有の肉体現象である生理を再現するマシーン。装着すると腹部に微弱な電流が走り、タンクからは模擬の血液が流れる。
 
 女の子になりたい、女の子の気持ちを本当に分かりたいという欲求を持つ男の子タカシ。そのため、女装するだけではなく、<生理マシーン>を作成する。本作は、彼を主人公とした楽曲とミュージックビデオ。ビデオではスプツニ子本人がタカシに扮する。その上で女装してマシーンを装着し、女友達と街に出て遊ぶ模様が描かれている。 
 
 この作品の大きな特徴は、<生理マシーン>がスプツニ子によって作成された実在するマシーンで、そのプロモーション作品でもあるということ。楽曲の制作もビデオの監督もスプツニ子本人により手掛けられている。全てを観ないと評価しにくい一面はあるが、背景を知らなくてもそれぞれを楽しめるようになっている。私には、楽曲でのヴォーカルのキャラクターごとの使い分けと、映像で吉祥寺をブレードランナー的に描いている点が面白かった。とはいえ、後者については<生理マシーン>の存在自体が私の見方を変えてしまっているのかも知れない。
 
 ジェンダーを鋭く衝いている作品なだけに、センセーショナルなものとして捉えられる事は避けられない(実際に発表後には英語圏で毀誉褒貶が激しかった模様)が、これは彼女の抱いているテーマであり、自覚しているからこそ持ち得る軽やかさが良いと思う。

 スプツニ子(愛称・スプ子)はロンドン在住の芸術家。英国の大学で数学を専攻し、フリープログラマーを経、大学院でDesgin Interactions(コンセプチュアルなデザイン論)を修める。本作はその卒業展示で発表された作品で、発表後に英語圏で話題となった。その際、彼女が男性だと誤解されたという逸話がある。

 また、本作はダウンロードの形で販売されているのだが、利益を全額次作に投入している点も興味深い。ブログ等で表明されているアーティストの利益についての考えも地に足が付いているものだ。余談になるが、やはり自らのポリシーの元、独自に活動しているまつきあゆむと旧知の仲というのも面白い巡り合わせだと思う。

 

(*参考リンク)

http://www.sputniko.com/

http://www.sputniko.com/works/sputniko/menstruation-machine

http://n-a-u.jp/video/nau00027-sputniko.html

(サイノマコト)

 

*販売方式についての記述を一部修正しました【9月7日(火)追記】

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