0.8秒と衝撃「エスノファンキードストエフスキーカムカムクラブ」EP(EVOL)

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0.8.jpg 誤解を恐れずに言えば、このバンドの個性は今度の新作(今回はEP)で確固たるものになるだろう。ファーストの時点での彼らのサウンドはメインストリームとハード・コア、あるいは洋楽とJ-POPの間にあるフェンスの上で何とかバランスを保っている、というものだった。既存の枠に収まらないだけに、曲は大衆ポップス以上にメロディアスでそこらへんのアヴァンギャルド・バンドよりエキサイティングだったのだが、どんな言葉を尽くしても説明できるものではなかった。だから私もファーストの時点では、とりあえず「バラッドが素晴らしい」とか、そういうことしか書いていなかった。そして待望のEPがリリースされた。今回は確信を持ってこう言える。塔山忠臣とJMの2人のボーカルが、何よりも素晴らしい。芯の通った塔山忠臣のロッキン・ヴォイスにJMの透き通ったファルセットが乗っかるとき、私は抗えない。「めちゃくちゃ良い曲だ!」と叫びたくなる。つまりこれは今回のEPに収録されている「Fork Guerrilla」のことなんだけど。またバラッドが気に入ってしまった。もちろん、アークティック・モンキーズを早回しにしたような「ビートニク・キラーズ」だって、ちょっと怖くて切なくて最高。うん、切なくて怖い、というのは0.8秒と衝撃のサウンドを30パーセントくらい説明できているかもしれないな。

 このバンドのルーツは掘れば掘る程どんどん「本当の音楽好きが狂気乱舞しそうな」ものが出てきそうだが、私はアーケイド・ファイアのあとに「ビートニク・キラーズ」を聴いたり、あるいはM.I.A.のあとに「21世紀の自殺者」を聴いたりする。つまり私にとって彼らは脈絡が無いから「超魅力的なバンド」なのだ。頑張って聴く必要はない。あなたは必ずこのバンドが好きになる。アークティック・モンキーズ...もっとぴったりの引用があれば良いんだけど。

(長畑宏明)

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