エンパイア! エンパイア!(アイ・ワズ・ア・ロンリー・エステイト)『ホワット・イット・テイクス・トゥ・ムーブ・フォーワード』(Strictly No Captial Letters / Stiff Slack)

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empire_empire.jpeg ミシガンで結成された4人組ロックバンド、エンパイア!エンパイア!(アイ・ワズ・ア・ロンリー・エステイト)のファーストアルバム。
 
 一聴してわかるのが、90年代中期から後半にかけてサニー・デイ・リアル・エステイトやミネラル周辺のバンド達によって確立された当時の「エモ」と呼ばれた音楽的エッセンスが集約されていること。00年代にメインストリームで鳴らされていた代表的なエモ・スクリーモと呼ばれたバンドたちが感情を激しいシャウトなどで表現していたとするなら、それ以前のアンダーグラウンドで鳴らされていた音楽は、私的な例え方をさせてもらうなら「負け犬の遠吠え」である。屈折した者たちが鳴らす痛々しさ、切実さが全編にわたって伝わってくる。
 
 そんな空気が彼らのアルバムにも詰め込まれている。ギターのひたすら反復するアルペジオ、タメ気味なドラム、そしてボーカルの不安定さまでいわゆる90年代エモのマナーにのっとっている。これを「焼き直し」だと思われるかどうかは人それぞれだろうが、ゲット・アップ・キッズが新作を出したとはいえリヴァイヴァル・ブームのようなものが起こる気運など感じられないこの状況で、このような音楽が生まれることは興味深い。時代を遡り当時の音楽を語るうえでの、現代における「踏絵」(このシーンを語るならばまずこれを聴くのが早い、と言う意味での...)と位置づけてもいいと思う力作。

(藤田聡)

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