TWIN SISTER『Color Your Life』(Infinite Best)

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twin_sister.jpg 最初、このアルバムを聴いたとき、なにか間違ったものをかけたのではないかと思ったのだった。確かにそれは輸入盤で、ニューヨークのバンドだったと記憶していた。デジパックのCDのケースを手に取り、クレジットを確認しようとするがほとんど情報はない。

 こんな風に驚いたのは、その音楽があたかも日本のポップスのように思えたからだ。具体的に言うと、コーネリアスの『FANTASMA』、砂原良徳の『CROSSOVER』辺りはすぐに思い浮かぶし、1曲目のリズムなどはノイ! っぽいのだけど、90年代に日本で消費されたそれの方がより近い気がする。

 このバンドについてググってみたのだが、たいして情報が得られず途方に暮れていた所、運良く中心人物のエリックとコンタクトがとれた。それによると、彼らはニューヨーク出身の20歳から26歳の5人組で、作曲は誰か一人が受け持っているというわけではなく、全員がいろんな楽器を持ち替えアレンジしていくトータス方式でレコーディングしているようだ。

 ノイ! もコーネリアスももちろん好きだ、というコメントの後に驚かされた。メンバー全員が矢野顕子の音楽に影響を受けているというのだ。意外な名前が出て来たと思ったが、言われてみるとなんかわかるような気がした。最近矢野さんに会えて嬉しかったとか、『ただいま』はすごいアルバムだ思うといった、矢野さんへの敬愛が綴られたあと、こう付け加えていた。「日本のポップ・ミュージックの多くは80'sやライヒ、ハウス・ミュージックの影響を受けているよね。」と。日本の音楽がどういったものの影響下にあるかまで正確に分析できているようだ。もしくは、アメリカ(やヨーロッパ)の音楽の変異体として日本の音楽を捉えているのかもしれない。

 とにかく本当に20歳のメンバーがいるのかと思うほど、聴いてきたもの、研究しているもののレンジの広さを感じさせるバンドだ。このアルバムを聴いて、他にはストロベリー・スウィッチブレイドや、キャンディ・フリップなんて名前も思い出した。

 アメリカのインディーズ・バンドには珍しく雑なところのない(失礼!)、丁寧にレイヤーされたドリーミーな音がすごく心地よい6曲だ。もう少し練っても良いかなあと思う所もなきにしもあらずだが、こういう音楽はちょっと足りないくらいがちょうどいいとも思えるし、これからフル・アルバムでどうなるかすごく楽しみだ。個人的2010年サマー・アンセムだと言ってるのだが、リリースされたのは4月でなんだかなあという気分にもなるのだった。推薦。

(田中智紀)

*フランツ・フェルディナンドでおなじみのDominoからデビューEP、「Vampires With Dreaming Kids」とこの「Color Your Life」のUKのリリースが決まった模様。現地発売日が9月6日で、CDとヴァイナルともに2枚組。それに伴って10月UKツアーも決定。来日公演が待ち望まれるところだ。【筆者追記】

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