ミ・アミ『スティール・ユア・フェイス』(Thrill Jockey / XVI)

|

mi_ami.jpg このアルバムをCDショップで見かけて、「あ、ボブ・マーリーだ! 夏だね~」とか言って買ってしまったうっかり者も(世界に5人ぐらいは)いるかもしれない。聞いてみて「なにコレ!」って、腰を抜かす可能性は大。そんな人でも気に入ってくれたらいいのにな、と僕は思う。MI AMI(ミ・アミ)の2ndアルバム『スティール・ユア・フェイス』には、ジャケット・デザインも含めて、不思議な魅力がぎゅうぎゅうに詰まっているから。

 ミ・アミは、ワシントンD.C.のDischord Recordsに所属していたBLACK EYESのメンバーが中心となって結成された3人組。09年の1st『Watersports』は、<Touch and Go>傘下のQuarterstick Recordsからのリリース。しかしその後、<Touch and Go>は惜しくも活動を休止。どうなることやらと思っていたら、これまた名門レーベル<Thrill Jockey>に移籍して、しっかりアルバムを発表してくれた。

 裏ジャケットを見て、さらにびっくり。ジェリー・ガルシアの遠い目を見つめながら、肖像権は大丈夫なのかな?って、ちょっと心配になる。レゲエとフリー・ジャムの王様にサンドイッチされた全6曲。知的なパンク・スピリットを感じさせるコンセプトは最高にクールで、鳴っている音楽は最高に熱い。ダブ、ラテン、ファンクからフリー・ジャズまで、ハードコアのざらざらした感触をそのままに、踊り狂えとぶちまける。シンプルなカッティングのリフからピュンピュンピュ~ン系のエフェクター・サウンドまでが自由に飛び交うギター、歪みながら広がっていく空間を泳ぐようなベース・ライン、そしてトライバルでテクニカルなドラムが気持ちいい。踊れ! 踊れ! 踊れ!

 ハードコア~ポスト・ハードコアというと、アルバムをリリースするたびに、どんどんストイックになっていく印象がある。とんでもない熱量をある一点だけに集中させていく感じ。僕にとっては、フガジ、トータス、シェラックなどの印象が強いのかも。でも、ミ・アミはちょっと違う。まだ2枚目だけど、どんどん自由に無邪気になっているような気がする。今、いちばんライブが見たいバンド。「Latin Lover」なんて、エフェクターとコール&レスポンスできそうだし。このクオリティなら、ジャケットに拝借されたヒッピーの王様たちもきっと許してくれるはず。21世紀のパンクは、こんなに自由でカッコいい。

(犬飼一郎)

retweet