ア・プレイス・トゥ・ベリー・ストレンジャーズ『エクスプローディング・ヘッド』(Mute / Vinyl Junkie)

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 COALTAR OF THE DEEPERSのナラサキ氏がTwitter上で絶賛し、日本でもコアなリスナーの間で話題になりつつある、「ブルックリンで最もやかましいシューゲイザー/ガレージ・バンド」の異名を持つ3人組の通算2作目。ヴォーカル&ギターのオリヴァー・アッカーマンは、以前このサイトでも紹介したセレモニーのメンバーと共に、ヴァージニア州フレデリックスバーグでスカイウェイヴというバンドで活動していた人物。現在は、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズやTV・オン・ザ・レディオ、U2、ウィルコといった、錚々たるアーティストを顧客に持つペダル・エフェクター・ブランド「Death By Audio」の創設・経営に携わりながらこのバンドを率いている。

 セルフ・タイトルが付けられた前作(2007年)は、それまで会場で売られていた自主制作音源をマスタリングしただけの、言わば"寄せ集め"的な内容だった。しかし今作は、アッカーマンが所有するDeath By Audioの工房に併設されたスタジオにて一気にレコーディグが行なわれたという。そのためサウンドの統一感も前作とは比べ物にならないほどあるばかりか、本作こそが彼らにとって実質上のファースト・アルバムと言えるだろう。ちなみに本国では、デペッシュ・モードやアインシュテュルツェンデ・ノイバウテン、スロッビング・グリッスルらを輩出してきた老舗レーベル<Mute>からのリリースである。

 とにかく、様々な種類のフィードバック・ノイズや残響音、エフェクトされたギターが乱れ飛び、それが大きなうねりとなってスピーカーから押し寄せる。本作を聴けば、所謂シューゲイザーやノイズ・インダストリアル系のバンドが、単にバカでかい音を鳴らして稚拙な演奏を覆い隠しているだけではないということが分かるはずだ。音を歪ませることで増幅される倍音や、リヴァーブやエコーの残響で滲んだ音の輪郭。それらが幾層にも重なることによって、これまで聴いたことのないようなサウンドスケープを生み出していく。ア・プレイス・トゥ・ベリー・ストレンジャーズは、そうした手法を間違いなく自覚的に、しかも現存するバンドの中で最も過激に実行しているバンドであろう。

 日本盤には6曲のボーナス・トラックを追加。先行シングルのB面曲や、英国ブライトン出身の5人組バンド・ユニット、サウス・セントラルによるリミックスなどが収められているので要チェック。まるで「Death By Audioのショーケース」のような本作は、ペダル・エフェクター・ジャンキー必須である。

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