エクスラヴァーズ『エクスラヴァーズ』(Fastcut)

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exlovers.jpg すでにコアな音楽ファンの間では話題になっているエクスラヴァーズ。ちょっと前にそのウワサを聞きつけた筆者は、まずMySpaceでその音を確かめたのだが、トップに貼られていたデモ曲「Starlight, Starlight」のイントロを数秒試聴しただけで、ふっ飛ばされるような衝撃を受けた。つんのめるようなドラムのフィルに続く、シンコペーションの利いたA△9/AとD△7(-5)/Dの繰り返し(ネオアコ~ソフト・ロック黄金律!)。バート・バカラックばりに美しい男女混成ハーモニー。そして、ザ・ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートがさらに加速度を上げたような演奏に、あっという間に虜になってしまったのだ。
 
 ピーター・スコット(ヴォーカル、ギター)とクリス(ギター)を中心に、イングランド南西部のコーンウォール周辺で結成された5人組バンド。本作は、そんな彼らの日本デビュー盤である。先にUKでリリースされた最新シングル「You Forget So Easily」に、ファースト・シングル「Just A Silhouette」のB面曲「Clouds」と、セカンド・シングル曲「Photobooth」、そして、冒頭に紹介したデモ曲「Starlight, Starlight」を追加した、ファンはもちろん彼らを初めて聴くとっても必須の内容だ。
 
 ピーターによる儚くも美しい歌声&メロと、そこに寄り添う紅一点ローレンスの控えめなハーモニーから、エリオット・スミス(それも『Either/Or』時代)を連想する人は多いはず。中でも、「New Year's Day」や「The Moon Has Spoken」、「Clouds」の歌い回しやスリリングなコード・チェンジ、悲しくも凛とした佇まいは、エリオット・スミスのそれを強烈に感じさせる。ピーターは10代の頃、アメリカン・ハードコアに夢中になっていたそうだが(腕全体に掘られたタトゥーが、華奢でナイーヴそうなルックスとは対照的)、キラキラとしたネオアコ風味のサウンドの奥に潜む暗い情念や衝動が、ハードコア・パンクを通過したフォーク・ミュージックを奏でるエリオット・スミス、あるいはロウやアイダらの音楽性と共鳴するのは、何ら不思議なことではないだろう。
 
 とにかく、彼らのソングライティング能力はアートスクールの木下理樹も「年間ベストに入る位」とtwitterで絶賛するほど。ただし本作を聴いた限りでは、メロディの"引き出し"がそれほど多くなさそうで、割と似たような曲が並んでしまったのは惜しい。そう言う意味では、おそらく最新音源であるデモ曲「Starlight, Starlight」のような突き抜けた曲を、今後彼らがどれだけ書けるかどうかが勝負になってくるのではないか。

(黒田隆憲)

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