シザー・シスターズ『ナイト・ワーク』(Downtown / Universal)

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scissorsisters.jpg 予想通り、なんていうと聞こえが悪い。それは重々承知している。だが、シザー・シスターズと、ザ・キラーズ『Day & Age』を手がけたスチュアート・プライスがタッグを組む、といったら思うことはひとつ。セカンド『Ta-Dah』収録の「I Don't Feel Like Dancin'」で見せ付けた特大のアンセム力を目一杯、伸ばす。実際、その通りだった。だが、両者のハマりっぷりは想定の範囲を遥かに超えていた。

 「今夜はゴムが必要」(「Whole New Way」)なんて、卑猥さフルスロットルのリリックもシザーズならではで笑わせてくれる。それに、ペット・ショップ・ボーイズにビー・ジーズ、そしてフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドといったバンドのポップさに、ちょっとだけ『Low』期のボウイの実験性を取り入れたハイテンションには、こちらもノるしかない。キレッキレのハイトーンのヴォーカルに、80'sディスコ直系のグリッターなビートに比肩できるアクトはなかなかいないだろう。

 サンティゴールドが作曲に参加し極上のグルーヴを展開する「Running Out」や、スリリングにアルバムを締めくくる6分の大作「Invisible Light」など、一切捨て曲なしの豪華ぶり。だが何より、極めつけは先行シングルとなった「Fire With Fire」。はっきり言ってしまえば、シザー・シスターズ版「Human」(もちろんキラーズですよ)。前半の静かなイントロから一気にバーストするところといい、メロディラインといい、使い回しじゃん、というツッコミを入れたくなるのも分かる。とはいえ、いいものはいい。間違いなく2010年のアンセムの1つになることは確実だ。

 オリジナル・ドラマーのパディ・ブーンの脱退という悲しい出来事あり、一度作った作品をボツにされ新たに全て録り直すという苦労あり、の結果、よくぞここまでハジけることが出来たと思う。この作品が2010年最もエキサイティングなパーティー・アルバムの1つであることは間違いないし、紫色のキラめき120%の出来には快哉を叫ぶばかり。あえて言うなら、欠点はオシリどアップのジャケ写ぐらい、か。

(角田仁志)

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