ザ・ソネッツ『ウエスタン・ハーバー・ブルー』(Despotz / Vinyl Junkie)

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sonnets.jpg いや、これには、まったく、おっどろいたね、という感じのザ・ソネッツの『Western Harbour Blue』。(ここ日本にて1カ月以上先行で7月14日にリリースされる)。カジヒデキのコメントを引用すれば、「加速して世界中から現れる新世代のネオアコ・フォロワー。しかし彼らのスタカンなりっぷりには脱帽です! (中略)最高に気持ちいいです。」とのことで、いかにもカジくんが好きそうなアルバムだなと思うし、僕も好きだ。まさに夏に聴きたい爽やかなサウンド。清らかなメロディ。洋服セレクト・ショップで流れていてもおかしくないオシャレっぷり。あまりにもオシャレなサウンドとポップ過ぎるほどポップな音楽性に僕は驚いたのだった。(個人的に資料に書かれている「青春ネオアコ」という言葉の意味が全く分からないけれども)。
 
 五人組、スウェーデンで生まれ育ったこのバンド。ペイル・ファウンテンズやスタイル・カウンシル、ワム! などをルーツとし、室内楽的な響きをあくまでもポップに昇華。涼しげな歌声も気持ちが良い。ピアノもパーカッションも歩み寄るようにメロディに吸いついていくその様はメロディの大切さを語る。音の全ては丁寧に奏でられ、ラストの9曲目(国内盤はボーナス・トラック3曲収録)はまさにこれぞバラード。ドラマチックに歌い上げる。もちろんスポーティーな楽曲も聴きやすく、ストリングスが、すーっと伸びていき、コーラスも抜群。
 
 そんな本作は、絶対にCDウォークマンやiPodに入れて、散歩でもしながら聴けば、より気持ちいいことこの上なし。部屋で聴くより外で聴きたい作品なのだ。いや、外で聴くべき音楽なんじゃないかと思えるほどに、辺りの風景を瞬時に清々しくさせてしまうであろう音に溢れる。さらに言えば前述したように今の季節に丁度いいサッパリとした音楽性。実際に僕は部屋で聴いているより散歩しながら聴いた方が心地良かった。
 
 これって新たな音楽のカタチで、ポータブル・プレイヤーを持っていない方がめずらしいこのご時世にあって、本作はドライブしながら、散歩しながら、公園のベンチに座りながら聴いてほしいと言っている。間違いなく言っている。その意味では今日的な、あるいは近代的な音楽だと言えるだろうし、音楽の新しい聴き方ないし現代の音楽の聴取方法を明確に提示しているとも思える。彼等の音楽のテーマとなっているのは「何気ないの休日の始まり。でもちょっと高揚感のある爽やかな一日」とのこと。これには素直に頷ける。だからこの作品を持ち歩こう。常に持ち歩こう。そうすれば、僕らはいつも笑顔になれる。

(田中喬史)

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