デフトーンズ『ダイアモンド・アイズ』(Warner)

|
3_deftones_cover.jpg
「エロい」と「セクシー」は違うらしい。チノの歌声を評して「エロい」と言う表現を使う側の意図としては、上品であろうが下品であろうがそんな品位などには余り意味を置かずに使っている筈である。時にピュアな怒り、時にナスティな下心を曝け出したりと自身の内面を抉り取ったようなボーカリゼイションであるが故に、受動する側の感情の襞を振動させる。そこには下品や上品などの隔てなど無い、解放された感性に満ちる妖しさが充満するのだ...。

 何よりその歌声を引立たせているのは彼らの音楽性であるのは言うまでもなく、オルタナ/メタル・シーンとは本当の意味で一線を画している事をこの凡そ4年ぶりのアルバムで証明してみせたのだ。そもそもチーム・スリープでピンバックのロブ・クロウらと共演したりとインディー音楽通の間でもその特異性は知れ渡っていたのだが。

 タイトで鋼鉄的なギター・リフは一聴すれば完全にUSラウド/メタルなのだが、キャッチーになり過ぎないダウナーなコーラスや、やや捻りを加えたリズム・パターンはそこらのキッズには勿体ないアダルトな内容。

 特に8曲目に収録されている「Sextape」ではドリーム・ポップや初期シューゲイザーなどの影響を公言するかの如く、浮遊感漂うメロディに歪んだギター・サウンドが揺らめいていて...もうこれは確信犯。更にはシングル曲「Rocket Skates」をフランスのシューゲイザー・ユニットのM−83がリミックスを手掛けた経緯もあることからも間違いない(アルバム未収録)。

 とは言えチノ本人よれば『ホワイト・ポニー』からの3作品の実験的なアプローチではなく、セカンド・アルバムの『アラウンド・ザ・ファー』に近い仕上がりとの談だが、確かに6曲目の「Prince」のイントロの質感は上記作品の「Mascara」を彷彿とさせるし、3曲目の「CMND/CTRL」では、ここ最近聴かれなかったあの頃のヒップな感覚が戻ったかのように心身をバウンスさせる。

 ベーシストのチ・チェンが回復しないままサポートに元クイックサンドのセルジオ氏が加わり制作されたが、これで万全の状態でチの帰還を迎え入れる体勢も整った。そして余談だがチノも痩せた!

retweet