VARIOUS ARTISTS『The Psychedelic Sounds Of The Sonic Cathedral』(Sonic Cathedral)

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 先日、オッカーヴィル・リヴァーとの共同名義でニュー・アルバム『True Love Cast Out All Evil』をリリースした(当サイトでも紹介されている)、ロッキー・エリクソン率いるサーティーンス・フロア・エレヴェイターズ(13th Floor Elevators)のトリビュート・アルバム。発売元は、いわゆる「シューゲイザー」系のイヴェントなどをロンドンで定期的に行なっている<Sonic Cathedral>で、これまでにもKYTEやスクール・オブ・セヴン・ベルズ、M83などニューゲイザー系のバンドや元ライドのマーク・ガードナーらが参加した『Cathedral Classics Volume One』のような良質コンピレーション・アルバムをはじめ、昨今話題の新人バンド、ザ・タンバリンズ、YETI LANEなどのカタログをリリースしている期待の新鋭レーベルである。

 参加アーティストの豪華さについては、リリース前からNMEなどで取り上げられ話題になっていた。例えば冒頭曲は、エリクソン本人がザ・ブラック・エンジェルズを率いてセルフ・カヴァーした「Roller Coaster」。他にも、エクスペリメンタルなガレージ・バンド、オール・ザ・セインツによる「Don't Fall Down」のローファイなカヴァーや、ブルックリンを拠点に活動し、MUTEから傑作セカンド・アルバム『Exploding Head』を昨年リリースしたダーク系シューゲイザー・バンド、ア・プレイス・トゥ・ベリー・ストレンジャーズによるフィードバック・ノイズまみれのインダストリアルな「Tried To Hide」、ニューヨーク在住のシンガー・ソングライターCheval Sombreによる、アコースティックな「You Don't Love Me Yet」(彼を以前プロデュースしたこともあるソニック・ブームとの共演)、そして、元デス・イン・ヴェガスのリチャード・フィアレスによる新バンド、ブラック・アシッドがフライング・ソーサー・アタックばりの轟音で埋め尽くした8分越えの大作「Unforced Peace」(圧巻!)等々、一筋縄ではいかない楽曲が並んでいる。

 そんな中、個人的に最も印象に残ったのは、フランス人シンガーCharlotte Marionneauの1人ユニット、Le Volume Courbeによる「I Love The Living You」のカヴァー。エリクソンが1999年に発表した、アシッド・フォークの名盤『Never Say Goodbye』(ブラック・アシッドが料理した「Unforced Peace」も収録)のこの曲を、彼女の恋人であるケヴィン・シールズと共に披露した。ここでのケヴィンはマイ・ブラッディ・ヴァレンタインで聴かせる轟音ギターは横に置き、ざっくりとしたアコギのストロークとメロディカの演奏に徹しており、そのシンプルなアレンジがシャルロットの少し掠れたロリータ・ヴォイスを引き立たせている。プライマル・スクリームやポール・ウェラーとの仕事で知られるブレンダン・リンチによる、控えめなミックスも秀逸だ。

 ともかく、本トリビュートはエリクソンの持つソング・ライティング能力に光を当てたばかりでなく、本家サイケデリックとシューゲイザーを結びつけた、Sonic Cathedralらしい非常にユニークな内容に仕上がっている。

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