メイル・ボンディング『ナッシング・ハーツ』(Sub Pop / Traffic)

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 このメイル・ボンディング(Male Bonding)はイギリスはダルストンの3ピースで、現在ザ・ビッグ・ピンクでドラムを担当しているアキコ嬢がかつてヴォーカルを務めていたバンド=プレ(PRE)の残りのメンバーによって結成されたバンドだ。

 だが、残り物というなかれ。2007年に活動を開始して以来、ペンズ(Pens)やダム・ダム・ガールズとのスプリット・シングルをリリースしたり、ヘルスやザ・スミス・ウエスターンズ(The Smith Westerns)、ザ・ソフト・パックなどとツアーを行なったりしてきた実力派だ。

 と、ここで「ん!?」と感じた方もいるかもしれない。そう、上記のバンドはすべてUSのバンド。このメイル・ボンディングはいつしか本国UKよりUSでの人気が高まってきた珍しいバンドだ。というのも、彼らの音楽を簡単に言ってしまえば、グランジ・リヴァイヴァルだからだ。ハスカー・ドゥやダイナソー・Jr.を思わせるジャングリーでノイジーなギターと、ラモーンズやバスコックス譲りのポップなコーラス&フックの効いたメロディのサウンドはUKよりUSのほうがしっくりくるし、USでは名門サブ・ポップと契約しているのも納得がいく。

 そんな彼らのデビュー・アルバムがこの『Nothing Hurts』。全13曲ながら、30分にも満たない長さだ。ギタリストでシンガーのジョン・アーサーは「長い曲は好きじゃない」とコメントしているが、まさにその通り。3分を超える曲は一切なし。直線的でポップなメロディが一気に駆け抜けていく。

 ザクザクと切り刻むようなギター・リフの「Year's Not Long」でアルバムはキック・オフ。以降、地響きのようなドラムがこだまする「Franklyn」、歌うようにメロディックなギターとツイン・ヴォーカルの「Weird Feelings」、ヴィヴィアン・ガールズをフィーチャーした「Worse To Come」など、ノイズと2分間の制約がありながら収録曲は非常にヴァラエティ豊かだ。歪んだ轟音が鳴り響くサウンドは、まるで90年代のシアトルにタイム・スリップしたように感じられる。決して斬新ではない。だが、人をひきつけられずにはいられないパワーと魅力がメイル・ボンディングにはある。

 自国びいきでイギリスのバンドには辛口評価のピッチフォークがこのアルバムをベスト・ニュー・ミュージックに選出。このままアメリカのインディ・キッズを熱狂させてほしいと願うばかりだ。

補足:日本盤は6月16日リリース予定となっています。

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