ダム・ダム・ガールズ『アイ・ウィル・ビー』(Sub Pop / Traffic)

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 「男は度胸、女は愛嬌」なんてことわざがあるけれど、カリフォルニアの4人組ガールズ・バンド、ダム・ダム・ガールズは「女は愛嬌? 何それ?」とツンとする。「ワタシ誰にも媚びる気ないし」と。黙って私たちの音楽聴きなさいよ的スタンス。いいねえ、クールだ。彼女たちのデビュー作を聴いていると、そんなツンとした表情が目に浮かぶ。中途半端な感情移入などしようものなら「あんたホントに分かってんの?」なんて一言も飛び出してきそう。ヤー・ヤー・ヤーズのニック・ジナーが参加。プロデューサーはリチャード・ゴッテラーの『I Will Be』。

 女性にとってカワイイがほめ言葉である日本にあって、彼女たちはかわいくない。欧米の女性にとってほめ言葉であるセクシーもまたダム・ダム・ガールズには似合わない。かといって彼女たちに魅力がないわけではなく、いわゆるツンデレだ。ぜひツンデレ好きの男性諸君に聴いて頂きたい。それはさておき。ジーザス&メリーチェインのファースト・アルバムを絶対に意識しているであろう本作(意識していないと言おうものなら嘘だと思う)。ジザメリのファーストは甘いメロディという、フィード・バック・ノイズを中和する要素があると思えるが、ダム・ダム・ガールズにはまるでそっぽを向いて歌っているような、ぶっきらぼうなところがあり、熱も抑制されている。メロディは甘美といえば甘美だけれど、それ以上にこのバンド、ツンツンしているのである。

 要は先に記したツンデレを感じるのだが、ツンデレとは「こんなそっけないワタシだけど実は受け入れてほしいのよ」という最上級の愛情表現である。それを感じるからこそ、ジザメリのファーストを暗いトーンにし、ガレージっぽくし、なおかつキルズのブルース・フィーリングを取り入れたような本作のダークな楽曲のどれもに顔を深く突っ込めば、そこにはオノ・ヨーコのアートでジョン・レノンが見たような「YES」の文字が浮かび上がる。

 婚活だとか女子力だとか、はたまたキュート・メイクだとかモテ・ファッションだとか、そういったものはこの作品にはないのです。装飾美なんてものもこの作品にはないのです。4人の女性が、ひねくれた、でも純粋な愛を奏でているだけなのです。シンプルに作られた本作は、何百通の長文ラヴ・レターより、「愛してる」という、そのたったの一言がとても素敵で、胸に響くものだということを語っているのです。ただし彼女たちはそっぽを向いているけれど。そんなところにツンデレ的かわいさをやっぱり感じてしまうんだな。歴史に残るような作品ではないけれど、かなりの快作。いや、改削作。

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