くるり『僕の住んでいた街』(Speedstar)

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 まず最初にアルバム・タイトル『僕の住んでいた街』がすごくいいなって思った。くるりは京都で結成されたバンドで現在は岸田繁と佐藤征史の二人がメンバーであり、メンバーが増えたり減ったり、サポート・メンバーも様変わりしている。日本だけには留まらずグラスゴーやマサチューセッツ、パリ、ウィーンなど海外でもレコーディングしている。

 このアルバム・タイトル『僕の住んでいた街』がバンドを結成してから14年の歳月を思わせる。いろんな人と出会い別れ、いろんな街に行って滞在し去り、また新しい街へ、時には昔住んでいた街にまた向かってみたりと今現在自分たちがここにいる理由やその過程があり、収録されている曲たちにも様々な景色がある。

 シングルのカップリングを集めた二枚組のアルバムで、一枚目の一曲目「東京レレレのレ」のみが新曲として入っている。この曲は盆踊り的なリズムでくるりらしい、なんだかくるりって天の邪鬼な事をするんだけどどこかしたらポップで時折ロックになったりとギアチェンジしていくバンドだなと前から聴いていて感じる事が多い。

 二曲目以降はシングルに収録された年代順に収録されている。流れで聴いていくとシングルやアルバムのリード曲ではないだけにさらに自由度が高い感覚を受ける。それは違う言い方だと冒険しているかもしれないし、リード曲にはならないがその分バンドの色が濃くなっている部分もある。

 アルバムやベストにも収録されている曲もたくさんあるが、それらだけを聴いていた人にもぜひ聴いてみてほしい。表に対しての裏というのではなく同じ時期に作られてもベクトルや意識が違うとこんなにも違うものができているんだと感じれるし、それ故にこのくるりというバンドの奥行きや音楽に貪欲な事に気付いてさらに好きになれるアルバムだ。

 個人的にはライブに行くといつも期待してしまう「すけべな女の子」や「The Veranda」「pray」「ガロン」「サンデーモーニング」「りんご飴」など好きだった曲以外にも今まで聴けてなかった曲がシングルで聴かないでも聴けるというのはいい機会だ。

「The Veranda」

 外の空気はきれいだろう
 梅の花びらしか 季節の到来教えてくれなかった

 春になったら変わるだろって
 言った通りになるのかな
 君からの便りもなく 一つの季節は過ぎてって
 しかめっ面したとき
 ちょっと思い出してまた消えた

 二枚とも17曲入りで収録できるギリギリまで曲が入っている。彼らのいろんな想いや時間が溶け込んでいる。このアルバムからくるりを聴き始めてもいいだろうし、今までアルバムでしか聴いてなかった人にもくるりの音楽の自由さを感じられるものになっている。

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