ルミナス・オレンジ『Songs of Innocence』(残響)

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 6月2日に残響レコードより発売されたルミナス・オレンジの新作『Songs of Innocence』。ルミナス・オレンジの中心人物である竹内氏と、ベースに河野岳人(LAGITAGIDA , ex-マヒルノ、他)、ドラムに西浦謙助(相対性理論、進行方向別通行区分、他)、アヒトイナザワ(VOLA&THE ORIENTAL MACHINE)クリストファー・マグワイヤ(ex-くるり)、ギターに柳川勝哉(CAUCUS)をサポートミュージシャンとして迎えている今作。

 僭越ながら本当に大名盤であることに疑いの余地無し。

 「Sea Of Lights」や「Untold」などのソリッドで、フィードバックや轟音の持つ圧倒感と、リズムの持つ説得力と格好良さに綺麗な旋律が融合した曲や、「Autumn Song」や「Violet」などの、透明感のある竹内氏の歌声と、タイトなリズムに様々な打ち込みの音色とギターの紡ぐ浮遊感の隙間から印象的に響く日本語の歌詞(個人的にこの歌詞が凄い好き)の曲など、バリエーション豊富であっという間に引き込まれてしまうアルバム。

 唐突だけれど、ルミナス・オレンジを紹介する場面でよく出てくる言葉が「シューゲイザー」という単語だと思う。自分はシューゲイザーというジャンルが好きでノイズやフィードバックの幻想感にいつも憧れるのだけれど、このアルバムを聞いて、誰かに伝えるときに、シューゲイザーの大本命!みたいな紹介はしたくないなと思ったのです。それはこのアルバムがシューゲイザーか否か!といったそういうったつまらない矮小な問題ということでは全然なくて、ルミナス・オレンジをそういった意味を限定してしまう言葉で表現してしまうということは、表現の手法だけに焦点を当てているだけで、その本質を捉えて表現できていないように僕は思えてしまうからということ。ではどう表現するのかと言われれば、僕はオルタナティブという広義な意味合いをもった表現を使いたいと思う。オルタナティブって何だ?っていう話になるけれど、僕がここで言いたいのは、オルタナティブな音楽に潜んでいる危うさや焦燥感といった心の負の部分に共鳴する要素と、それらと同時に背中合わせで存在している無邪気さや純粋さのような要素が、このアルバムでは並列して存在し、そして素晴らしく表現されているということ。そしてまたそれらの要素が、竹内氏の持つオリジナリティ溢れるコード感や楽曲の展開、メロディラインなどのセンスが、素晴らしいサポートミュージシャン達と融和し、演奏力や完成度といったさまざまな面において説得力を持ち、圧倒的な強度と完成度で表現されているのだ。

 そしてなにより普遍的な魅力を持った音楽だと僕は思う。

 ジャンルやキャリア、流れとかそういったことに捕われずにっていう表現自体がもう既に捕われているのかもしれないし、定型文だし、押し付けがましいけれど、それでも僕は、この「今」のルミナス・オレンジの音楽と、個として還元された自分とが対峙したときに感じた切なさや感動を共感したいと思うのです。

 是非、聞いて欲しい一枚。

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