RYAN FRANCESCONI『Parables』(Sweet Dreams) [reviews]

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 霞立つ森を通り抜ける開放感。しぶきを上げる激流が過ぎた後に残る静寂。川の上流から下流まで流され大海へ辿り着き、そこで待ち構える広大な平穏。雲の切れ間から刹那的に零れる曙光。流麗なギターの音色から想起される寓話は限りない。今まで聴いたことのない、神秘的なソロギター集である。『Parables』とは、おとぎ話・寓話という意味だが、それは、本作が彼の指先だけで紡がれる物語であることへの暗喩であろう。

 本作はRFというエレクトロニカ・アーティストとして、ジョアンナ・ニューサム・バンドのメンバーとして、ザ・トイズやトリオ・モプムのギタリストとして、幅広く活動を繰り広げているライアン・フランチェスコーニによる本人名義での処女作である。そしてその処女作は大胆にも、アコースティックギター一本による、清廉で身を浄化するようなソロギター集となっている。既存の参加アルバムの色合いからは大きく変貌を遂げているが、彼の音楽性の源流、基盤であるブルガリアン・トラッド・フォークが今作の象徴となっているということは、より本作が等身大のライアン・フランチェスコーニを描写した記念すべき作品であるということを証明している。

 彼は、この種のアーティストにありがちな、どこかノスタルジーなコードを響かせることに酔っているだけの二流ギタリストではない。ギター雑誌の表紙に抜擢されても遜色のない、一流のギタリストである。清冽な雨のアルペジオは唯一無二であり、時間を忘れるほどに美しい。

 本作は4月1日にリリースされたアルバムなのだが、おそらく私にとって2010年の最名盤になりうる作品であったため、6月現在、恐縮ではあるが、レビューを書かせていただいた(ジャケットも秀逸!)。

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このページは、伊藤英嗣が2010年6月14日 03:22に書いたブログ記事です。

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