宮内優里 『ほんじつのおんがく集 2』Download Album(Self-Release) [reviews]

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 三月に三枚目のフルアルバム『Toparch』を発表したMiyauchi Yuri氏は、実は同時期に『本日の音楽集』というアルバムをHP上で無料配布していた。「新作アルバムにまつわるリリースブログを開催したは良いものの、ブログのネタが浮かばないので、曲を公開した」というのがアルバム制作に至る経緯なのだという。前作は、窓辺から環境音を拾い集め、そのアンビエンスからメロディをインプロヴァイズしていった----といえばスタイリッシュに聴こえるが、徐々に「環境音とインプロヴァイズ」という当初のコンセプトは霧散し、最終的にはまるで彼の日記のようなアルバムに変貌していた。結果、そのラフさが人懐っこく、『Toparch』と同じくらい聴きこんでしまったことは大声では言えない。

 今回の『ほんじつのおんがく集 2』は少しコンセプトを変容させて臨んでいる。ミュージシャンでも素人でも誰でもいい「おんがく家」に録音してもらった音を用いて曲を作るという、一種のコラボアルバムになっている。録音された音は、子供の声でも環境音でもメロディでも何でもいい(詳しくは彼のHPを拝見した方が良いかもしれない)。

 そんなバックグラウンドが起因しているのかもしれないが、今作には親近感を抱くというか、私達との距離がない。すぐ傍でギターが爪弾かられている。風がそよいでいる。子供が笑っている。温度が伝わってくる。そしてパーソナルなのに自己完結しておらず団欒としている。

 私はこの日記のようなアルバムが好きだ。本作は、音楽なのか音の欠片が散りばめられただけなのか分からないし、時間も労力も大きく費やされているわけでもない。それでもこのアルバムには「なくてもいいけど、あったらすごくいい」という彼の理念が豊かに実っている。ごちゃごちゃと情報を堆積させただけの音楽が胡散臭く聴こえてくる。晴れた昼間や夕暮れに是非。

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このページは、伊藤英嗣が2010年6月11日 20:08に書いたブログ記事です。

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