ノーザン・ポートレイト

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NORTHERN PORTRAIT

アルバムではセルフ・プロデュースですごくD.I.Yな形だけれど、自分たちの作りたかった音を実現できたと思う

北欧デンマークからアルバム『Criminal Art Lovers』でデビューしたギター・バンド、ノーザン・ポートレイト。80〜90年代のネオアコ〜ギター・ポップへのオマージュたっぷりに、キラキラとしたサウンドを奏でる彼ら。シンガーでメインのソングライターでもあるバンドの中心人物ステファン・ラーセンに、バンド結成ののいきさつから、ビートルズをはじめとするUKバンドからの影響、デンマークの音楽シーンについてまでを聞いた。

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バンドは2007年に結成されたそうですが、結成のいきさつを教えてください。

ステファン・ラーセン(以下S):そうだね。7月1日って日付も覚えているよ。バンドは、シングルとアルバムに収録されている曲「Crazy」をレコーディングするために結成されたんだ。その後、他の多くのバンドの同じようにネットで楽曲を公開して、すぐにコンタクトしてくれたのが今のレーベル〈Matinée〉で、彼らは楽曲を公開して6週間後に連絡をくれたんだよ。そしてデヴューに至ったって感じだね。

バンド名の「ノーザン・ポートレイト」はどこから?すごくサウンドに合っていると思うのですが、どこか地理的に具体的な場所を指していたりするのでしょうか?

S:どうしてこのバンド名になったか実はあまりよく覚えてないんだけど、マイスペースで使っていた写真がひとつの理由だね(下の写真。「The Fallen Aristocracy EP」のジャケットにも使用されている)。バンドを始めた時、まだバンドの写真を持ってなかったから自分のコンピューターを探して、その写真が気に入って使ったんだ。それが写真がポートレイトだったということと僕らはスカンジナビアというヨーロッパの北部に位置するデンマークの出身だからってことが理由のひとつじゃなかったかな。



アルバム・タイトルの『Criminal Art Lovers』というのもすごく印象的ですが、これにはどういう意味がありますか?

S:はは、これもまたあんまりよく覚えてないんだ。自分で書いた曲なのにね(笑)僕は、いつも歌詞を書き留めるノートをポケットに入れて持ち歩いているんだけど、そうしたノートのうちのひとつから生まれた言葉で、それが気付けば曲のタイトルになって、アルバムの名前になったって感じさ。ノートにはそういう今となってはどうして思いついたか分からない言葉がたくさん書き留めてあるんだよ。

またアルバムのジャケットには有名なル・コルビジェのサヴォア邸の写真が使われていますね。モノトーンの人物写真だったシングルのジャケットも素敵でしたが、この建物の写真を使用したのはなぜですか?

S:僕ともうひとりのメンバーは建築家でもあるんだ。だから、こうした建築やデザインにはすごく興味があるし、ジャケットに建物を使うってことはすごく自然に思えたんだ。このコルビジェの建物はすごくモダンな感じがして好きだったしね。また、アルバムのアートワークを考える時、シングルで使ったようなポートレイト・スタイルからは違ったものにしたいと思っていたんだ。それらは以前にベル&セバスチャンやスミスといったバンドがやっていたからね。もちろんシングルのジャケットも素敵だけど、アルバムのアートワークはまた違った形で僕たちを表現できたと思うよ。

アルバムでは「ソフィスティケイテッド(Sophisticated)」されたサウンドを目指したということですが、具体的にはどういったサウンドを作ろうと思ったのですか?

S:ソフィスティケイテッドというのは、僕の中ではありきたりのものじゃないっていう意味なんだ。ソングライターとして僕は、Aメロ、Bメロ、サビみたいな決まりきった形の曲を書くこともできるけど、もう少しシニカルなものを追求したかったんだよね。チャート・ポップみたいな曲のアイデアもあったけど、そうした曲には少なくとも今のところは興味がないからね。もちろんチャート・ポップにはいい曲もあるし、よく書かれた曲であれば問題ないと思うよ。でもほとんどがそうじゃないしね。でもほんとうにアルバムではセルフ・プロデュースですごくD.I.Yな形だけれど、自分たちの作りたかった音を実現できたと思う。

曲を書く時は詩が先ですか?曲が先ですか?

S:基本的に曲と詩は別で、後から曲に詩をつけていくね。たいがいの場合、曲の鍵となる基本的な部分をレコーディングして、そこから全体を作っていくんだ。曲はすごく直感的に書くことが多いよ。その過程はすごく面白いし、考えすぎてありふれた曲にならなくていいと思う。もちろん少しルーズになってしまうマイナス面もあるけど、時にそのルーズさも曲にいい雰囲気を加えてくれていると思うんだ。

ビートルズやロイ・オービソン、そしてブリット・ポップのアーティストなどに影響を受けたということですが、どういう形でそういう音楽を聞き始めたのでしょう?

S:ブリット・ポップなどのUKシーンの音楽は、ビートルズからの自然な流れで聞き始めたんだ。子供の頃は、そんなにまわりに音楽があるわけじゃなかったんだよね。ラジオから流れてくる曲を聞いたりね。父のお気に入りがロイ・オービソンで、母はアバが好きだったね。で、10歳くらいの頃、ビートルズをコピーしたりして遊び出したんだ。その時の仲間には今、バンドでドラムをプレイしているマイケルもいたよ。そして90年代中期のブリット・ポップ・シーンが、同時代のバンドを聞き出した最初だね。そこから80年代にも興味を持って、たくさんのバンドを楽しんで聞いたんだ。影響を受けたアーティストを挙げるなら、ストーン・ローゼズ、ハウスマーティンズ、、エコー&ザ・バニーメン、アーハ、トラッシュキャン・シナトラズ、スミス、パルプ、スウェード、ライトニング・シーズとかだね。

デンマークの音楽シーンについてはどうでしょう?古くはギャング・ウェイや最近ではレヴォネッツなどといったバンドがいますが、そうした同郷のバンドについてはどう感じますか?

S:いいギター・ポップのシーンがあるとは言えないんじゃないかな。少なくとも僕が知る限りではね。レヴォネッツは好きだね。他にはギャング・ウェイや、ラヴ・ショップ、ラース H.U.Gとかが数少ないデンマークで好きなバンドだと思う。今、他には思い当たらないよ。僕の音楽的な知識は、ほとんどがイギリスからで、一部がアメリカからだからね。もちろん近くのスウェーデンにもたくさん素敵なバンドがいるし、日本のシュクレットやスロッピー・ジョーなんかも素敵だと思うよ。

最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

S:アルバムを聞いてくれてありがとう。近いうちに日本で会えたらうれしいよ!

2010年5月
取材、文/安永和俊

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