デルフィック

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DELPHIC.

ちょうどそこにあったからシンセサイザーを取り入れたわけで
特に深い理由はないんだよ(笑)



その圧倒的なステージ・パフォーマンスで、瞬く間にイギリスの新人バンドの中では一歩抜きん出た存在となったデルフィック。スタイリッシュなヴィジュアル・イメージや、ステージでのクールな佇まいの印象とは真逆に、物凄くフレンドリーで「イイ奴ら」な三人。2010年4月の心斎橋SOMAでのライブの前に楽屋で、地元・マンチェスターの話からファッション・トークまで、いろいろと聞いてみた。

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まず最初に、読者に向けて、名前とパートをそれぞれ簡単に紹介していただけますか?

リチャード・ボードマン(以下R):じゃあ僕から。どうも、リックです。キーボードとシンセサイザーを担当してるよ。

マット・コックセッジ(以下M):マット、ギターです。

ジェイムス・クック(以下J):僕はジェイムス、ボーカルです。

今回は三度目の来日ですね。日本の印象はどうですか? 夏の湿気にしろ、冬の寒さにしろ、もう慣れましたか?

M:気候は特に苦労ないし、日本は来るたびに好きになるよ。去年は大きいショーにも出させてもらえて、嬉しかったよ。

J:そう、サマーソニック。

サマーソニックでのショー、本当に素晴らしかったです。

R:観に来てくれてたの?

ええ。その時点では恥ずかしながら音源は「Counterpoint」と「This Momentary」くらいしかチェックしか出来てない状態だったんですが、ただただ圧巻でした。照明などの演出も素敵でしたね。

R:嬉しいよ。サマーソニック、よく憶えてる。大阪はなぜか来るといつも雨のような気が...サマソニといい、今日といい(笑)。

サマソニでは他のバンドのショーも楽しみました? 例えばスペシャルズとか。

M:そう! スペシャルズ! ホラーズもよかった。トム・トム・クラブとかは見逃したんだよね...。憧れのスペシャルズとエレベーターで一緒になったときは、何だか違和感だったよ! 「まさか、あの彼らと? 日本のフェスで?」って感じ。

J:フェスの醍醐味でもあるよね。自分達のステージ以外でのエキサイティングな一面。

さて、デルフィックですが、デビューからトントン拍子での飛躍ですね。

M:え?そうなの(笑)?

ええ、少なくとも日本では間違いなく断トツの注目株かと。イギリスも含め、周囲の反応はどうですか?何か変化はありましたか? 街でよく気づかれるようになったとか。

J:どうだろう...実感は、正直なところないかな。

M:私生活でも、街で気づかれるとか全くってほどないな。今回の来日で、「気づかれてる」って感覚を初めて少し味わったかもしれない。昨日の夜、公園でお花見をしてたら、女の子たちが何人か、ひそひそこっちを気にして話をしてるのを感じたんだ。

J:イギリスでもまだ友達が「今ラジオで流れたよ!」と携帯にメッセージを送ってきたりするような状況(笑)。

マンチェスターではどうですか?

R:普通に過ごしてるね。もちろん憧れとして、「ニュー・オーダーみたいに知られたい」って願望もありながら、そこまでになってからの苦悩とかを想像する段階にも至っていないからね。

M:有名になりたいかといえばそうだけど、私生活が変わったり、暮らしにくくなるのは困るからね。

なるほど。ではデルフィックの音楽についてのお話を。デルフィックの象徴とも言える打ち込み・シンセサイザーの音ですが、最初にバンドにそういった音を取り入れるきっかけはあったのでしょうか?

R:そうだな、きっかけというか、バンドをし始めて、ちょうどそこにシンセサイザーがあって。ただシンセサイザーがあったからで、ほんと特に理由はない(笑)。「これを僕たちのサウンドの象徴にしていこう」っていう意図があったわけでもなくて、ただ使えば使うほど可能性と方向性が伴ってきた。出来上がる曲がことごとく自分達でも満足いくものだったし、迷いもなかったね。

ジョイ・ディヴィジョン、ニュー・オーダー、ストーン・ローゼズ、ハッピー・マンデイズ、バズコックス、マガジン...マンチェスターからは刺激的な先輩バンドがとても多く輩出されていますが、特に影響を受けたバンドはありますか?

M:バズコックス! いいよね! そう、いつもマンチェスター出身だって忘れられがちのバンドだよ(笑)。すごく好き。スミス、ジョニー・マー、他にもたくさんいるけど、デルフィックがバンドとして直接影響を受けたと思うのは無いかな。もっと世界的に、ジャンルも特定しないいろんなところからの影響を受けていると思う。

「マンチェスターのバンド」と呼ばれるプレッシャーはありますか?

R:プレッシャーには思わないかな。2ndを出して、これからどうするってときにそういうのは感じはじめるかも。

M:うん。「上回りたい」っていうのとは違うからプレッシャーではないけれど、いつか「マンチェスターといえば、ストーン・ローゼズ、ジョイ・ディヴィジョン、スミス、デルフィック、ニュー・オーダー...。」みたいに、名前を連ねてもらえるような...そういう感じになりたいね。

最近の若手バンドで仲が良かったり、影響を受けるバンドはありますか?

R:トゥー・ドア・シネマ・クラブ、彼らとは仲もいいし、良い刺激になってるよ。

M:あとエブリシング・エブリシングとか。

R:刺激はたくさんのバンドから受けるけど、影響というより、逆にそれによって浮き彫りになる「らしさ」を見つけるのが楽しいかな。結局は自分達らしい音に忠実に新しい作品を作る、その繰り返しだしね。

納得です。音だけでなく、その立ち居振る舞いやファッションも含め、「New/Stylish」という印象ですが、日本の女性ファッション誌でも実際に「スタイリッシュなバンド」として名前も挙がって。ファッション先行でデルフィックの音に興味を持つ、そういう女の子も少なくないです。

M:ホントに!? いやー...こまったな~(照れながら)。

J:大変だ(笑)!

特に好きなファッションブランドとかありますか?

R:東京でも買い物したけど、A.P.C.の服は好きだよ。東京には良い店がたくさんあるよね。

J:世界に4大ファッション都市をピックアップするならニューヨーク、ミラノ、ロンドン、それから東京だよ、絶対。何気ない着こなしとか小物使いとか、街の子がみんなハイレベル。原宿も良い店が溢れかえってるから、いくら使ったか思い出したくないくらいだよ!

イギリスではいつもどこで買い物を? トップショップやH&Mなど、ハイセンスでリーズナブルなショップも当たり前のようにあって羨ましいです。

R:やっぱりジル・サンダーだね...とか言いたいけど、まだまだそこまでリッチじゃないよ(笑)。

J:たしかに、イギリスではハイストリート・ショップには困らないね。クオリティもいいし。トップマンもH&Mもよく使うし、リス(REISS)っていうショップも好きだよ。シンプルでおすすめ。そういうリーズナブルなショップのほうが便利に着れるよね、やっぱり。今日着てるアクアスキュータムとかバーバリーも好きだけど。

M:彼が履いてる靴もいいよね(インタビューは通訳の高橋さんとメンバーとの対話を中心に進んでいましたが、ここでメンバーがライター・山本に絡み始める)。

R:ジャケットもね。気になってたんだ。

(山本、困惑してもじもじしている。ちなみに靴はクラークスのデザート・ブーツ、ジャケットはゴールデン・ベアーのスタジャンでした。デルフィックの三人はそれぞれ古着のステンカラー・コートを三者三様に着こなしていて、かっこよかった!)

M:デルフィックに入りなよ(笑)!

J:次の来日は君っぽい着こなしで来るよ、憶えとこ!

(スタジオからのサウンドチェックが用の音楽がかなり大きな音で聞こえてくる。)

あ、これはフレンドリー・ファイアーズの「Paris (Aero Plane Remix)」ですね。よくクラブでもかかる。好きなんです、このリミックス。

R:いいよね。

M:もううんざりだけどね。毎回これがかかるんだもん(といいながら体はノリノリ:笑)。ほら、かつてものすごく好きだったのに、聴きすぎて鬱陶しくなっちゃう感じ。むしろ悲しい!

わかります(笑)。最近では、バンドでのライブ活動と別にDJもするというスタイルがよくあると思うのですが、デルフィックではどうですか?

R:ぼくらもやってるんだ。「Delphic V2.0(読み:Delphic Version Two point Naught)」って名前で。厳密に言うと、ライブ・セットとDJプレイの間っていう感じかな。何度かこの名義でやってるんだ。

日本でも是非!

R:やりたいなあ。いままではV2.0メインでというよりライブの後とか、特殊なシチュエーションでやることがほとんどだったしね。

日本のファンは絶対大喜びですよ! 確約します(笑)。イギリス、特にロンドンではダブステップシーンが盛り上がっているとも聞きますが、羨ましいです。そういうミックスも?

M:ダブステップは確かに上質ではあるけど、ダブステップに固執するとやっぱり踊りにくいし、お客さんを限定してしまうから、自分達に求められている種類の音ではないかな。すごく好きなんだけど。

J:ダブの感じでテクノをミックスしたり、ダンス寄りに仕上げていくとかね。DJセットでの向き不向きのチョイスと、自分の好みでいつも葛藤するよ。

R:ダブステップの中でもジョイ・オービソンとかは使いやすいね。

J:フローレンス・アンド・ザ・マシーンの「You've Got The Love(The xx Remix)」とかもダブステップ過ぎてないし、すごくいいと思う。でもやっぱりミックスはしにくいかな。

ブリアル(Burial)、スクリーム(Skream)なんかは、やはりミックスしやすいですか?

R:スクリームいいよね。大好き。

J:そう、ブリアルもいい。

R:ボーナス・トラックの「Alterstate」、あの曲は特にブリアルが好きっていうのが分かりやすく反映してると思うな。

では、デルフィックの今後の活動についてですが、何かプランはありますか?私生活も含めて
(注:この取材の後、サマーソニック2010への出演が発表されました)。


M:ジャパン・ツアーの後、10日ほど休みがあるんだ。リラックスしつつ、たまったアイディアも整理したいな。ここまで駆け抜けるように来たから。

J:そうだね、新しい曲も書きたい。落ち着いたら、新しい車と女の子でもゲットするかな(笑)!

M:車も、女の子もご購入ですか。そうですか。

(笑)

R:冗談だよ!ね!

M:うん、冗談冗談(目配せで「ジョークじゃないよ!」)。

J:ジョークだよー(笑)!

では最後に、日本のファンにメッセージを。

M/R:よし、じゃあジェイムス、代表してたのむ!

J:「NIHON DAISUKI!!」



2010年4月
取材、文/山本徹
取材、翻訳/高橋理恵

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