May 2010アーカイブ

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 マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、チャプターハウスが再結成に沸くなか、当時のシーンのなかで後続(特にエレクトロ方面)に与えた影響、という意味では恐らく最も大きいスロウダイヴの編集盤。コクトー・ツインズから耽美さを薄め輪郭を曖昧にして、幻想を生み出す1st『Just For A Day』、メロディが際立ち甘美さが増した2nd『Soulvaki』、エレクトロ方面に大幅に移行した3rd『Pygmalion』、そしてシングル3枚、EP2枚から。
 
 音源を振り返り感じさせられることがある。乱暴に言うと、バンド・サウンドでいうところの、彼らの音楽に影響を受けたシガー・ロスを筆頭とする(シガー・ロスを筆頭としてしまうのも語弊があるが、あくまで音の感じとして...)いわゆる音響系とも呼ばれたバンド群は、"荘厳さ"を伴ったり、"壮大さ"を纏ってい る印象がある。洗練されたイメージ。
 
 しかし実は彼らは違う。ぜひ初期のシングル3枚、そして前述の『Just For A Day』のジャケットを見て欲しい。まさにそんなイメージ。霧で覆われた洞窟から抜け出せないでいる音。現実と幻のあいだにあるような、まるで三途の川で流れているかの感覚は、1曲目から最後まで一貫しているといえる。そんな世界を覗きたくて、この音源に手を伸ばす。浸る、というより、覗く、漂う。
 
 90'sオリジナル・シューゲイザーの再評価がされて久しいが(90年代後半から2000年前後にはどのCDライナーノーツを見ても、そんな言葉は死語として避けられるか、否定的な文脈で語られていたように思える)、当時の市場の規模は小さく、普遍的に語られるべきバンドなんて実際ほんの一握りだと思っている。そんななかでも、現在のシーンを考えても最も知られて欲しいバンドだと思っている。

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 ミシガン州のカラマズーを拠点に活動するクラッシュ・シティ・セインツは、ジョシュア・ガーマンとクリス・ワーハマキの2人のギタリストに、レコーディングやライヴ時のメンバーで、紅一点女性ヴォーカルであるエイプリル・モリス、マット・マッサッチ、ネイサン・ガーマン(ジョシュアの弟)の3人を加えた5人組。本作は、彼らが07年にリリースしたシングル「Returner」の全収録曲と、08年のファースト・アルバム『The People Were Even Stranger』からチョイスした8曲に、書き下ろしの新曲「Broke」を加えて新たにマスタリングし、クインス・レコードよりリリースされた世界デビュー作である。

 米国には初期リリーズを筆頭に、轟音番長スコット・コルツの1人ユニットであるアストロブライト、先日奇跡の来日を果たしたフリーティング・ジョイズ、もうすぐファースト・アルバム『COLOUR TRIP』をリリース予定のリンゴ・デススターなど、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(MBV)の影響をダイレクトに受け、それを何の衒いもなくアウトプットするバンドが数多く存在する。「僕らはケヴィン・シールズへのリスペクトを、一度たりとも忘れたことはない」と公言するクラッシュ・シティ・セインツも、その一つと言えるだろう。「『Isn't Anything』に対する返答」と自負する「Every Face Is A Mirror」をはじめ、『Loveless』移行期のケヴィンが書きそうな切ないメロが印象的な「Council Of Elders」、さらにはMBVの「Only Shallow」を思わせるリフと、コルム・オコーサク(MBVのドラマー)ばりの機関銃ドラムが効いた「Returner」など、「どんだけ好きやねん!」と思わず突っ込みたくなるような、ぶっちゃけて言えば"まんまMBV"な楽曲がズラリと並んでいる。それでも憎めないどころか、たまらなく愛しい気持ちになってしまうのは、先に挙げたバンドと同様、そこにはMBVへの"狂おしいほどの愛"が込められているからだろう。ちなみに本作の中で重要な要素となっているのが、紅一点エイプリル・モリスのヴォーカル。MBVのビリンダ・ブッチャーというよりは、カーヴのトニ・ハリディやコクトー・ツインズのエリザベス・フレイザーにも通じる耽美で妖艶な歌声が魅力だ。

 シングルやアルバム収録曲、書き下ろし曲の寄せ集めなので、アルバムとしてのトータル性が希薄なのは正直否めない。しかし、彼らのソングライティング能力の高さを知るにはマストな一枚と言えるだろう。今後が楽しみのバンドだ。

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 ほとんどの音楽は、聴く前から大体どのような音なのか、なんとなく分かっているものが多いと思えるが、もし、破滅覚悟の気持ちで、そして暗闇に身を投げる度胸でもって未知の音楽体験をしたいと思う人がいるならば、僕は迷わずこの作品を薦めたい。本作もまた、破滅する覚悟を持つアーティストの音楽だ(クッキーシーン読者にそういう音楽を求めている方が多いか分からないけれども...)。  

 聴けばたちまちのうちに心揺さぶられ、飲み込まれ、放心寸前の心地が胸の深くから湧いてくる。唯一無二のビート・メイカーかつ西海岸アンダーグラウンド・シーンきってのプロデューサー、マッドリブが別名義で創りだした『Slave Riot』、それはまさに、今まで以上に緊迫の色が濃いインストゥルメンタル・ミュージック。重心を低く保った重量感のあるグルーヴにはまり、四方八方から聴こえてくるパーカッションが思考の弛緩を誘う。ファンキーなベース音や妖しげなサックスとストリングスが鼓膜に飛び込み、その魅惑的な音の全てが辺りの重力を歪ませる。一瞬でも気を許せば夢遊病者と化すであろうサウンドに痺れる53分。一気に聴かせる。

 これはちょっとBGMとしては聴けないな、という感じであり、面と向かって一対一で聴くべき音楽だ。決して歌心に溢れているとは言えないが、「え?」っとなったり「お?」っとなったり、はたまた「ん?」っとなったりと、奇妙キテレツな音色に溢れているものだから突発的な新鮮性に驚き、ざわめき、聴いているうちにもっともっと音が欲しくなる。中毒性がある音楽とはこのことかよと驚愕した。クールでいて危険な香りがエキサイティングであり、狂乱、乱雑、それらが醸し出す不謹慎とも言える快楽に焦がされる。しかも耳を近づければスウィング感が十分あるのだ。

 マッドリブはイエスタデイズ・ニュー・クインテット名義でクラブ・ジャズ的な音楽も、ジャジーなヒップ・ホップも発表しているが、この作品でフリーに突入し、自由という名の束縛の中で自分は一体どれだけできるのかと賭けに出た。それが伝わるからなおさら痺れる。僕は乱れろと言いたい。マッドリブの過度期にあたるであろう本作で乱れなさいと。そうして訪れるは狂乱の渦に焼かれる快感。痺れが止まらない。

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「貴方が殺した自由の歌が僕の頭に響く」
「貴方が殺した自由の歌は貴方の心に響いていますか?」
「貴方が殺した命の歌が僕の頭に響く」
 
 これらは「虹色の戦争」の歌詞の一部分で初めて聞いた時からこの歌詞の部分のインパクトがすごくて頭の中で巡る、巡る、めぐる、廻る、メグル、巡って脳内リフレインした。

「貴方が殺した自由の歌が僕の頭に響く」「貴方が殺した自由の歌は貴方の心に響いていますか?」「貴方が殺した命の歌が僕の頭に響く」って巡る。

「世界の終わり」の『EARTH』のアルバムのジャケットはバンド名「世界の終わり」をローマ字表記したもので「SEKAI NO OWARI」とある。

SEKAI
NO
OWARI

 で「NO WAR」って部分が虹色でデザインされていて、それがメッセージだったと気付いたのは買ってしばらくしてだった。すごいネーミング。

「世界の終わり」のイメージって最終戦争とか、大事な人が奪われたりいなくなったりこの世界が崩壊して彩りを失うことを意味するのに、ローマ字にして虹色で「NO WAR」が隠されている。この精神は何だろうかと僕は思った。それによりさらに彼らに興味を持った。何度も繰り返してアルバムを聴いた。

 世界を終わらさないための「NO WAR」であるのが本当の意味での彼らのバンド名なのか、意図的なダブルネーミングか。だとするとこのバンドはかなりひねくれててアイロニーもたっぷりだ。期待値が上がってくる、どこまで行くのか。

 どこまで本気で世界を変えようとしているのか、戦おうとしているのか、ポップなメロディにそれに反するような歌詞や言葉がそれらに乗って聞き手の中で巡り、その意味を考えてしまう。

 ツイン・ギターにピアノにDJという四人編成でそのDJはピエロのお面を被っている。しかも名前は「LOVE」で二代目だそうだ。メンバーのインタヴューを読むとヴォーカル・ギターの深瀬慧は中学もほとんど行かず、その後に二年間アメリカに留学するつもりが二週間でパニックになり、その後精神病院に入り退院し音楽を始めている。

 その後、プロ・ミュージシャンになるよりもライブハウスを作るよう方が簡単だとバンド結成よりも前にライブハウスを作り活動を始めた。そこに集まったメンバーが今の四人であり、深瀬の学歴もなく、将来に対しての不安や夢も希望もない状態、そして「死にたくない」というもの、それらの危機的な絶望的な状態からの「生きる」という理由を探し、もう一度歩き出すために考えに考えた末の決断がライブハウスを作りバンドを始めることだった。

 ライブハウス「EARTH」にはスタッフが15人いるらしい。彼らはひとつのコミュニティである。「世界の終わり」というクリエイティブカンパニーでもある。

 同じ意志を持ったコミュニティとして世界と向き合おうとしているような感じがする。この感覚はとても正しいのでないかと思う。グローバリゼーションが破壊したある意味での経済活動やインタネーットの普及で変わってしまったクリエイティブの表現の中で僕ら個人は戦うものが多すぎるし、孤独だ。

 その孤独を武器に世界に自らを表明する創造的表現をしていくのか、あるいは集団としてカンパニーという仲間と共に世界に向かい合うかという選択ぐらいしかないのかもしれない。

 大きなレコード会社だとかを抜いてしまい、自分たちのカンパニーで今までだったらレコード会社がしていたことを自らの手でやり、活動していくというのが「テン年代」(by 佐々木敦)のスタンダードな音楽活動になるのかもしれない。

 それがスタンダードになるのなら彼らの鳴らす豊潤な音楽と刹那的にも思える歌詞の相互作用により多くの支持を得ていくバンドになるだろう。このアルバム『EARTH』はその「世界の始まり」になるはずだ。極めて「テン年代」的な、このディケイドを代表するバンドになる可能性が高いと思う。彼らがこの先どう展開していくのかが楽しみだ。

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DELPHIC.

ちょうどそこにあったからシンセサイザーを取り入れたわけで
特に深い理由はないんだよ(笑)



その圧倒的なステージ・パフォーマンスで、瞬く間にイギリスの新人バンドの中では一歩抜きん出た存在となったデルフィック。スタイリッシュなヴィジュアル・イメージや、ステージでのクールな佇まいの印象とは真逆に、物凄くフレンドリーで「イイ奴ら」な三人。2010年4月の心斎橋SOMAでのライブの前に楽屋で、地元・マンチェスターの話からファッション・トークまで、いろいろと聞いてみた。

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2010年5月15日

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THE GET UP KIDS

それぞれが落ち着いて、偶然同じ場所にいて
「今」っていうタイミングが揃った、良い再始動ができたよ


解散から3年、待望の再始動、そして待望の来日を果たしたゲット・アップ・キッズ。3年の間に目まぐるしく音楽シーンは様変わりしたが、彼らは何一つ変わらない全力疾走のライブを観せてくれた。メンバーはみんな30代になったものの、目を輝かせて音楽について語る姿は今でも「キッズ」そのもの。今回は大阪公演のリハーサル前に、ヴォーカル/ギターのマットとキーボードのジェイムスに聞いた。

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ミュージシャンの作る曲が配信で売られると誰が困るのか? おそらく最も打撃を被るのは「すでにCDを大量に販売することでビジネスの規模を維持している」ビッグ・カンパニーだろう。

資本主義下の経済活動においては、その「規模」も(たとえば株主や銀行といったキャッシュフロウに欠かせない役割を持つ人たちの)重要な判断材料となる。そして、CDという「モノ」の製造に関わる人たちの経済活動も考えれば、一概に「良くない」と断ずることはできないものの、ミュージシャンとしては「そういった人たちの生活のこともあるからさ...」とか言われても...。

こういったことを考えると、ビートルズがiTunesストア(ITS)で未だに売られていないことの理由もなんとなく想像できる。そして、英国BBCのNewsbeatでポール・マッカートニー自身がこう語っている。

「どうしてこんなキチガイじみたことになってるのか、はっきり言ってよくわからないよ。iTunesはそうしたがってるし、いつかはそうなる(ビートルズの曲もデジタル配信で売られる)はず。ビジネス・サイドが、どたばたしてるんだよ。ぼくら(ビートルズのメンバーやその親族)とか、iTunesとは関係ない。『中間にいる人たち』...レコード・レーベルのひとたちのほうに、そうしたくない、なんらかの理由があるんだろうね」

EMIサイドは「ディスカッションは進行している。我々もビートルズの音楽がデジタル配信できる日を心待ちにしている」という声明をすでに発表。そしてポール自身もこう語っているのだが...。

「ビートルズの音楽は、もう充分すぎるほどそこらじゅうでかかってるし、誰もが知ってる状態になってる。ぼくらとしては文句を言うつもりはないけれど...」。

2010年5月15日14時59分 (HI)

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ルー・リードと、彼の現在のパートナーであるローリー・アンダーソンが、来月5日にオーストラリアのシドニーで、純粋に「犬向け」のライヴをおこなうことが明らかになった。

これは、今月27日から来月21にかけて、上記のふたりがキュレーターとなって開催されるヴィヴィッド・ライヴ・フェスティヴァルの一環として予定されているもの。犬にしか聞こえない周波数を使った(犬自身と同行の人間が耐えられる長さを考えて)20分だけのライヴ・セットになる予定、とのこと。

フジロックとかでも、誰か犬もしくは猫向けのライヴとかやってくれればいいのにね(笑)。

2010年5月15日8時39分 (HI)

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マーク・ロンソンといえば、エイミー・ワインハウスのプロデューサーとして"ロック以前のエキゾティシズムを漂わせた新しいサウンド"を現在のポップ・ミュージックに定着させたあとボブ・ディラン初の"公式リミキサー"として起用されるなど、今最も注目されるヒップホップ系(もしくはヒップホップあがりの)キー・パーソンだが、この9月にリリースされる予定の彼のニュー・アルバム『Record Collection』からの新曲「Circuit Breaker」が、まずはヴィデオ・クリップの形でStereogum.comに公開された。

「ゼルダの伝説」へのオマージュかな...とか見ているうちに、後半DJバトル(というか「DJバトル」って本当はこういうものじゃないと思うんですけ ど...:笑)が始まる、楽しい作品。

なお、2007年の前作『Version』(その名の通り基本はカヴァー集)には、エイミーやリリー・アレンなど彼のプロデュースでお馴染みになった人たちのほか、マキシモ・パークのポール・スミス、サンティゴールド(当時の名前はサントゴールド)からカサビアン、ロビー・ウィリアムスなど豪華メンバーがフィーチャーされていた。NMEによれば、次作『Record Collection』(それにしても素晴らしいタイトル!)には、ボーイ・ジョージ(!)のほか、ザ・ドラムス(!)、カイザー・チーフス、ザ・ズートンズなどのメンバーが参加予定とのこと。

2010年5月15日7時59分 (HI)
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