マッシヴ・アタック『ヘリゴランド』(Virgin / EMI)

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 7年ぶりの新譜。それ程の年月が経っても誰もが待ち続けてマッシブが「更新」されるのを待っている。もうそれだけでも物凄い話だ。イギリスのシーンからも常に自ら隔絶して新たな音楽を更新し続ける唯一無二のマッシブにまたも驚かされてしまった。ゲストの多彩さ、それこそ古くからの盟友ホレス・アンディがいればマッシブが蒔いた種とも言えるTV on the Radioのトゥンデ・アデビンデも居る。新旧の様々が織り成すゲストが如何に何年間と沈黙していようと常にリスペクトされているのが窺い知れる。

 1曲目の「Pray For Rain」からゆっくりと海の底へ沈澱していくような感覚に陥る。1曲の中に様々な展開や表情を魅せ後半のキーボードが入ってくる所など堪らない。先行カットされた「Splitting The Atom」も淀み、徐々に歪んでいく圧倒的なサウンドスケープに引きずり込まれていく。詩の暗喩的な警鐘が心情を揺さぶる。「Girl I Love You」は今までの沈んでいくベースが上昇し牽引していく重く激しい曲だ。ホレスの声も力強くソウルフルに響く。ダブステップや時折垣間見せるオーガニックな楽器の音が見事に混ざり合い新しいマッシブを提示して魅せる。ただ、前半と後半の中間2曲、「Psyche」「Flat Of Blade」が少々蛇足のように思えた。アルバム中、白眉と言える美しい「Paradise Circus」に上手く繋がらない気がした。その「Paradise Circus」を後半の始まりに、これぞとマッシブと言える様な世界が繰り広げられていく。3DがVo.をとっている2曲は圧巻の出来だ。張り詰めた空気が途切れることなく緻密に作られたサウンドと共に進み、最終曲「Atlas Air」で収束される。不穏なピアノ音が耳にこびりついて離れない。

 唯一のオリジネイターとしての貫禄をまざまざと見せつけられた。

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