ビーチ・ハウス『ティーン・ドリームス』(Bella Union / Hostess) [reviews]

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 2010年代に入って、スプーンだオーウェン・パレットだヴァンパイアだと怒涛のリリース・ラッシュに興奮しながらも、私はこのボルチモア出身の2人組が書いた「Norway」という曲に夢中でした。フロア・タムを効かせた浮遊感のあるリズムに不安定で胸が張り裂けそうな旋律が絡むヴァースから、太陽の光のもとへと連れ出されるコーラスへ移るとき、あなたはどこか遠くの異国に思いを馳せないでいられるだろうか。あるいはノスタルジックになる心地よさみたいなものを思い出さずにいられるだろうか。現代には様々な役割を持った音楽があり、あえて何の役割を持とうとしない音楽がある。アーティスティックな側面を保ったまま、いくつかのバンドは自分たちが生活できるくらいのリスナーを身につけることができた。ダーティー・プロジェクター然り。アニコレなんてそのまま安住し続けていられたであろうユートピアから抜けてポップに転換してもなお批判の矢面に立たされることがない。そういう音楽の素晴らしさは商業的成功よりも、むしろ1人1人の生活にどのような影響を及ぼしたかで評価されるはずだ。2010年代にストロークス級の衝撃が訪れるかは微妙なところだが、個人にとって毛布になってくれるこのアルバムには人生に必要な優しさまでが備わっている。全ての曲が統一感を持ちながら、どれもが珠玉の名曲。

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このページは、伊藤英嗣が2010年4月30日 02:34に書いたブログ記事です。

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