キングス・オブ・コンビニエンス at 渋谷O-EAST 2010/04/07

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photo by Shoichi Kajino

 やみそうでやまない小雨の渋谷。グレーな天気のせいで妙に高ぶらないのが彼らの音楽を聴くのには良かったのかもしれない。

 1曲目、4thアルバムから「My Ship Isn't Pretty」。ナイロン弦のアコースティック・ギターで奏でる長い音符のコード、深いリヴァーブのかかったスティール弦のアコースティック・ギターは、単音のメロディを音数少なくピックを使わず文字通り爪弾いていく。物憂い音楽が、夜の海にいるようなざわざわした静けさを醸し出す。

 一曲終わると曲間に静かな残響が続く。スタンディングのライヴとは思えないほど"揺れない"会場。5曲目、2ndから「Singing Softly To Me」。気持ちテンポの速い曲で自然に起きたオーディエンスのハンド・クラップを、アーランドが「No,No,No,No clapping!」と制し、フィンガー・スナップをしてみせて、「Very nice sound if 500 people do it」とこの独特なムードをあおる。

 エイリックが「ジンセイニフカノウナコトハナイ」と日本語でMCした後に始まった、10曲目、「Rule My World」では中盤で「Please take over」と、さきほどのフィンガー・スナップと同じように口笛をやらせようとするも、やらせようとするフレーズの難易度が高すぎてうまくできないオーディエンスに対し、「You suck! Come on! Don't be shy!」とアーランドが叫ぶ。このあたりから、オーディエンスが積極的にならないことに多少いらついた様子をみせ、コーラスを求めたり、コール・アンド・レスポンスを求めたりするたびに、「What fuck...」だの言ってたのは、最後の方はシャレに聞こえなかったのだけど。

 それにしても、そんなに複雑ではないコード進行(「My Ship Isn't Pretty」なんてコード3つ。Bm7-Dmaj7-Em7。)と、三度音程が中心のヴォーカルのハモリ。特別なことをやっている訳ではないのに、この物憂い穏やかなムードを作っていく。ハンド・クラップではなく、フィンガー・スナップだと言うのも、こうしたムードを作り出すことへの強い(強すぎる?)こだわりなのだろう。どの曲を聴いてもすばらしい再現性で演奏されるのにも、当然と言えば当然なのだけど驚かされた。バカテクという訳ではないけど、しっかりとしたアレンジ(ライブ用に少し変えてあるものもあった)と演奏技術だ。

 演奏を聴きながら、2ndアルバムが録られた、LiverpoolにあるParr Street Studioの事を思い浮かべていた。そんなに大きくなく、機材もそれほど多くないスタジオなのだけど、小さい各ブースのアンビエンスがすべて違う特性になっている。コンクリートの部屋だったりウッドパネルが全面にひいてあったり。残響を重視するには最適なスタジオかもしれない。彼らがあの場所を選択した理由がわかったような思いだ。
(いまはホテルになっているので興味のある方は行ってみると良い。食事もなかなかのものだし。ただ夜3時くらいまでVenueとして営業しているので、うるさくて眠れないかもしれないけど。エコバニがよく立ち寄るようなので運が良ければ会えるかも。)

 アンコールまで入れて、1時間30分のやや短く感じたステージだったが、会場を出て濡れた路面と雨は止んだがまだ曇っている夜空が心地よく感じる、穏やかで憂鬱な余韻の残るすばらしいステージだった。

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photo by Shoichi Kajino
SETLIST

1. My Ship Isn't Pretty (4th)
2. 24-25 (4th)
3. Me In You (4th)
4. I Don't Know What I Can Save You From (2nd)
5. Singing Softly To Me (2nd)
6. Cayman Islands (3rd)
7. Failure (2nd)
8. Second To Numb (4th)
9. Mrs. Cold (4th)
10. Rule My World (4th)
11. Peacetime Resistance (4th)
12. Boat Behind (4th)
13. Misread (3rd)
14. Gold In The Air Of Summer (3rd)
15. I'd Rather Dance With You (3rd)
<アンコール>
1. Homesick  (3rd)
2. Know How (3rd)

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