イェーセイヤー

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YEASAYER

レコード会社の人間も、まさか僕たちが
ポップなアルバムを作るとは想定してなかったみたい(笑)


ヴァンパイア・ウィークエンドやMGMT等を筆頭に、ここ数年、ニューヨークのブルックリン界隈から出てきたバンドが次々と世界中で注目を浴びているが、フジロック・フェスティヴァルで待望の初来日を果たすイェーセイヤーもそんなバンドのひとつだ。5月にリリースされた待望のニュー・アルバム『Odd Blood』は、中東の音楽に影響を受けたサイケなデビュー作から一点して、目映いばかりのエレクトロ・ポップ・アルバムとなっている。その大胆な変化について、また目前に迫ったフジロックのこと等、ギター、ヴォーカル、キーボード担当のアナンドに話しを聞いた。

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ALL photos by Takeshi Suga


『Odd Blood』リリース直後の2月にグラスゴーでイェーセイヤーのライブを観ました。会場は満員でとても盛り上がっていましたし、あなた達のパフォーマンスもとてもエネルギッシュで印象に残っています。

アナンド(以下A):ありがとう!確かあの日は観客の一人がステージに突然上がってきたよね。

ええ覚えてます。普通だったらすぐにセキュリティに捕まるんですが、彼1曲中ずっと踊ってましたよね。バンドも特に気にする素振りにもありませんでした。もしかして最初から了解済みだったとか?

A:いや全く知らなかったよ。ただ僕たちのショーではけっこうよくあることだから大して気に留めなかった(笑)。今回のツアーは、アメリカもヨーロッパもほぼソールドアウトだったし、オーディエンスのリアクションも良く、とてもエキサイティングだった。前作『All Hour Cymbals』のツアー時に比べて、フロアで踊る人も増えたし、いくつかの曲では合唱も起こる様になった。そういったリアクションをライブで得る事が、今回のアルバムを作る際の一つの目標でもあったから正直とても嬉しいよ。

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その新作の『Odd Blood』について聞かせてください。ます最初にサウンドの大きな変化に驚きました。前作のエクスペリメンタルで、中東の音楽の要素を持ったムーディーなサウンドから一転して、ダンサブルでカラフルなポップアルバムになっていると思いました。

A:そうだね。レコード会社の人間も、まさか僕たちがポップなアルバムを作るとは想定してなかったみたい(笑)。前作のツアー中にいくつかのアイディアが生まれた。エナジェティックでヴォーカルを全面にフィーチャーした作品にしようというのが初期のアイディアだった。サウンドの変化についてだけど、僕たちとしては前作と同じ事を繰り返したくなかったし、新しい事にチャレンジしたかったというのが、理由のひとつだね。あと『All Hour Cymbals』の時は、複雑なレイヤーを持った曲作りに凝っていたんだけど、今回はもっとシンプルでとっつきやすいサウンドにしたかったんだ。それに僕もクリス(ヴォーカル/キーボード)も、80年代のダンスミュージックが好きで、シンセを多用した曲作りにもトライしたかった。

今回のアルバムにはラブソングが多いなと思ったんですが、これには理由があるんですか?

A:シンセを使った曲が多いと、どうしても機械的で冷たくなりがちだよね。それを避けるためにパーソナルな内容の歌詞が必要だと思ったんだ。もう一つはファーストの歌詞の内容が、非個人的なものだったことに対する反動かな。ファーストを作り終えた時点で、次はラブソングをやろうとメンバーの間で言っていたしね。

グラスゴーで観たライブでは、あなた達以外に2人のミュージシャンが加わった5人編成でした。これはアルバムの音をライブで再現するためでしょうか?

A:ライブではスタジオの様に豊富に機材の揃った環境でプレイ出来ないし、アルバムとは違ったアレンジでライブをやるようにしてる。ただ僕たち3人だけだと、歌いながらキーボードを使って複雑な演奏とか出来ないからね。他の2人が色々な音を出せることで、さらにライブサウンドに強度が増して、自分たちの納得のいくショーが出来るんだ。

なるほど。ところであなたとクリスはアニマル・コレクティヴのメンバーが通っていた高校の後輩に当たるそうですね。どんな雰囲気の学校だったんですか?

A:アニマル・コレクティヴのメンバーは僕たちよりも5歳くらい年上なんだけど、彼らの様なバンドが成功しているのを見るのは刺激になる。とても進歩主義的でクリエイティヴな学校だった。特に音楽や演劇等のアートに力を入れていた。アートスクールではなかったけど、クリエイティヴな作業に没頭出来る環境ではあったね。バンドを組んだり、演劇をやったり忙しかったよ。

当時はどんな音楽を聴いていたんですか?

A:ビートルズやニール・ヤング。ペイヴメント、ウィーザーを始めとする90年代のインディーロックを聴いていた。当時はあまり実験的な音楽は聴いてなかった。そういった音楽を聴く様になったのはカレッジに入ってからかな。

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今年の8月にはフジロックでの初来日が控えています。意気込みを聞かせてください。

A:初めての日本だしとてもエキサイトしてる。あと、僕はロキシー・ミュージックの大ファンだから、彼らがトリをつとめる土曜日には会場へ着いていたいな(イェーセイヤーの出演は日曜日)。僕たちのライブの魅力はとてもエナジェティックな演奏にあると思う。僕たち自身もステージを動き回るけど、フェスに来る人にもぜひ踊ってもらいたい。照明にも凝っていて、ステージの後方にある柱や、キーボードのスタンドの色がカラフルに変わるんだ。実はフジロックの後に1週間くらい休暇を取って、日本のどこか田舎に滞在したいなと計画してるんだよ。

楽しんで来てください!ただ日本の夏は暑くて蒸し暑いですよ。

A:寒いよりはマシだね(笑)。


2010年4月
取材、翻訳、撮影、文/菅武志


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