アロハ

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ALOHA

偶然にできたのではない、確固たる
「ソングライター」としての楽曲ができた


アコースティック・EP『ライト・ワークス』から2年余、満を持して届けられたアロハの5枚目のフル・アルバム『ホーム・エイカーズ』。様々なギミックを満載した、アロハ・サウンドが炸裂した傑作になっている。リード・トラックの「Moonless March」を聴けば、インディー・ロック・ファンなら誰しも、たまらない高揚感を覚えるはず。今回は新作について、ボーカルと殆どの楽曲のソング・ライティングを担当するトニー・キャバラリオに話を聞いた。【パート1】

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ニューアルバム『ホーム・エイカーズ』のリリース、おめでとうございます。EP『ライト・ワークス』以来、久々となるリリースですが、その間のメンバーの皆さんそれぞれの活動について聞かせてください。

トニー・キャバラリオ(以下T):本来は『ライト・ワークス』の後、1年以内には『ホーム・エイカーズ』をリリースする予定だったんだけど、僕のところに子供が出来て、少し休暇が必要になったんだよ。その間に何度も再考できたこともあって、時間を置けたのは結果的に良かったと思ってる。僕とT.J.(T.J. リップル)がレコーディングを終えて、その間にケイル(ケイル・パークス)はソロ・アルバムのリリースと、ブラームス(Brahms)っていうバンドを始めたよ。

リード・トラックの「Moonless March」を初めて聴いた時、かつてない程アップ・テンポでポップに弾けた楽曲に驚きました。私は個人的に「グッド・メロディと、実験的なサウンドが融合し、なおかつ全体的に極めてポップにまとまっている」というのがアロハの音楽の特徴だと思っているのですが、今回の作品は特にポップな面が強調されていると感じました。制作にあたって、「ポップな作品にしよう」という意図はありましたか?

T:いや、ただ『サム・エコーズ』の時の、「頭を使う」というか、「繊細な」イメージを変えたくて、そこでテンポを加えたんだ。たしかにテンポがあがると「ポップ」には聴こえるかな。

「ポップな作品」と言いましたが、もちろん「ありきたりなポップス」という意味ではなく、アロハらしい複雑で練り込まれたアレンジは健在ですね。サウンド面での新しい試み、こだわった点などがあれば教えてください。

T:これまでは小さくバラけていた音を、大きくフル・サウンドにした点、あとヴォーカルのメロディーには今までもより一層意識を置いた。T.J.は、本来ならギターが入るパートをマリンバに置き換えるという試みもしていて、元々ユニークなマリンバの音を、「ロックな楽器」って感じのダーティーなサウンドに変えてしまったんだ。

個人的にEP『ライト・ワークス』収録の「Body Buzz」という曲が大好きで、あの作品でアロハの新境地が切り開かれたように感じています。『ホーム・エイカーズ』でも「I'm In Trouble」のようなアコースティックギターを中心にした曲で、『ライト・ワークス』の延長線上の味わい深い泣きのメロディの魅力を感じました。個人的には(ポリヴァイナルでの元レーベルメイトでもある)マット・ポンド・PAなどにも通じるものを感じます。近年、ソングライティングにおいて、何か変化した点はありますか?

T:ソングライティングは単純に続けていることで、向上していると思う。以前はアクシデント的に出来たことも着実なものになっていくし。『ライト・ワークス』は、「偶然にそこらへんのやつがいい曲を歌った」っていうのじゃなくて、確固たる「ソングライター」としての自分を出せたんじゃないかな。それはすごくいいことだと思うんだよ。

ソングライティングにおいて影響を受けたアーティストなど、あれば教えてください。

T:クラウト・ロック、プログレッシヴ・ロック、ジャズ、エレクトロニカ、ミニマル、クラシック...といった、多方面のジャンルからの影響が半分と、ジミー・ウェブ、ポール・ウィリアムス、ランディ・ニューマン、レナード・コーエン、そしてビートルズといった、トラディショナルなソング・ライターからの影響が半分、かな。

レコーディング中によく聴いた音楽は何ですか?また、最近気に入っているアーティストや作品があれば教えてください。

T:アルバムの製作中はずっとブロードキャスト、クライアンテル、そしてザ・ナショナルなんかのアルバムをよく聴いていたよ。あとは、イギリスのフォークだったり、ロータス・イーターズやフェルトみたいな80年代の音楽もよく聴いたね。

それでは、アートワークについて。毎回アルバムのジャケットがクールでお気に入りなんですが、今回もかっこいいですね。ダニエル・デンジャーという方がデザインされたとのことですが、どのようなコンセプトやイメージで、今回のジャケットが決定したのでしょうか?

T:ダニエルとは以前から友達なんだ。僕らは彼の作品がすごく好きで、彼も僕らのファンでいてくれてる。今回のアルバムのジャケットは、「特別な場所に孤立した廃墟」を描いてほしいって頼んだんだ。

メンバーの皆さんの、今後の活動予定を教えてください。

T:ケイルはブラームスっていうバンドでNYで活躍中。デロリアン、レモネード、パッション・ピット、ダーティー・プロジェクターズなんていう、素晴らしいバンドたちとも共演していて、最近の若い連中とも相性がすごくいいんだ。絶対観た方がいい。ケイルは特に音楽において「熱い」から、今はブラームスにすべてを注いでる。そのパワーが伝わってくるんだ。T.J.はツアー・メイトのポムグラニットを始め、ワシントンでたくさんのバンドのレコーディングやマスタリングに携わってるよ。マシューはバリード・ワイヤーズっていうクリーブランドのバンドで活動中。そして、僕はたぶんこの夏を目指してアルバム製作かな。まだ具体的ではないけどね。

(近日公開予定のインタビュー後編へと続く!)

2010年3月
質問作成、文/山本徹
翻訳/高橋理恵

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