クワージ&モールス at 京都アバンギルド 2010/02/17

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 新作『アメリカン・ゴング』をリリースし、約11年振り(!)という待望の来日を果たしたクワージと、同じく新作『ウェザー・スケッチ・モディファイ ド』をリリースするモールスのダブル・ヘッドライナー・ツアーの京都公演の模様をレポートします。

Ryo Hamamoto

 この日は、今回のツアーでモールスのサポート・メンバーとして参加している、ギタリスト/シンガーの浜本亮さんがオープニング・アクトとして最初に登場。エレキギターの弾き語りというスタイル(途中、モールスの内野さんがドラムで参加)で、ハイ・テクニックなギタープレイを見せたかと思えば、演奏を途中で投げ出すような、肩の力の抜けたローファイ感を醸す場面もあるなど、終始どこまで天然なのか計算なのか判断しかねる雰囲気で、良質の日本語ロックを聴かせてくれました。

Moools

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 続いてモールス。いつものように酒井さんの面白MCを挟みながらライブは進行。サポート・ギタリストとして浜本さんを迎えた4人編成で、複雑なアレンジの楽曲がよりダイナミックに再構成されていた。ギターによる犬の鳴き声(のような音)が印象的な「トイプードル」や、プラス/マイナスもカヴァーした「いるいらない」など、ニューアルバム『ウェザー・スケッチ・モディファイド』からの曲を中心に演奏。モールスの大きな魅力の一つである、酒井氏による独特なストーリー性のある歌詞の世界を、バンドが時に豪快にロッキンに、時に自由にトリッキーに演じていく様子は、まさに日本語ロック・オペラ。

 個人的に特に印象に残ったのは「クワージみたいな曲を作ろうと思って出来た」と言って演奏された初期の曲。たしかにクワージ〜その他90年代のUSインディ・バンドっぽい雰囲気はあったものの、単なるモノマネやコピーではなく、そこから別の音楽になっているように感じられました。
 練り上げられたクオリティの高い楽曲、テクニカルな演奏、それらがきれいにまとまってしまわずに、歪なところを残したまま放出される...そんなモールスの音楽の魅力が、存分に堪能できるライブでした。

Quasi

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 そして、この日のトリはクワージ。サム・クームスとジャネット・ワイスの元夫婦コンビに加え、前作『ホエン・ザ・ゴーイング・ゲッツ・ダーク』リリース後に正式にベーシストのジョアンナ(ジャネットと共にスティーヴン・マルクマス&ザ・ジックスのメンバーであり、クリブスのギャリー・ジャーマンの奥さんでもある。)が加入し、3人組となった彼ら。今回はニューアルバム『アメリカン・ゴング』のリリース・ツアーということで、当然新作からの曲が多く演奏されました。前々作『ホット・シット』と前作『ホエン・ザ・ゴーイング・ゲッツ・ダーク』が、ヘヴィなギター・サウンドを中心にした曲の多い、ロッキンな作品だったのに対して、今回のアルバムはバラエティ豊かな仕上がりで、ポップでライブ映えする曲も多く、新作をまだ聴いていない方にも楽しめる演奏だったのではないでしょうか。

 もちろん「The Poisoned Well」「Sea Shanty」「It's Raining」などなど、USインディ・ロック史上に残る名曲の数々も、随所で演奏してくれました。。サムはギターとキーボードを持ち替えながら大暴れし、ジャネットもあのパワフルなドラミングでそれに応える、息の合った演奏を聴かせてくれました。
 アンコールではザ・フーの「Heaven and Hell」のカバーも飛び出し、(おそらく)今回のツアー唯一のダブル・アンコールにも応えるなど、大盛り上がりのうちに一大インディ・ロック・ショウは幕を閉じました。

 おそらく、ヨ・ラ・テンゴやスーパーチャンク、ビルト・トゥ・スピルやモデスト・マウスといったバンドたちに比べて、クワージの日本での知名度は少しだけ劣ると思います。今回の来日公演で興味を持った人や、予備知識無しにライブを観て好きになった皆さんは、是非是非アルバムを買って聴いてみてください!そして、周りの友達に薦めてみてください!所謂USインディ・ロックが好きな全ての人に、聴いてもらいたいバンドです。

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