ジェームズ・イハ talks about ティンテッド・ウィンドウズ

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TINTED WINDOWS

アメリカには...、そんなに大きな
パワー・ポップのムーヴメントはないし(笑)


バン・E・カルロス(チープ・トリック)がドラム、アダム・シュレシンジャー(ファウンテインズ・オブ・ウェイン、アイヴィー)がベース、ジェーズム・イハ(元スマッシング・パンプキンズ)がギター、そしてテイラー・ハンソン(もちろん、あのハンソン!)がヴォーカル。まさに「夢のグループ」といえるだろう。そんなティンテッド・ウィンドウズが、大阪と東京で素晴らしいライヴを披露してくれた。後者の午後、赤坂のEMIオフィスで、イハに話を聞いた。

100115tinted_5.jpg                                                                                                                           photo by Ryota Mori
アルバム『ティンテッド・ウィンドウズ』素晴らしいですね。ラズベリーズやビッグ・スター、フレーミング・グルーヴィーズといった、70年代の、いわゆるパワー・ポップ・バンドを思わせる部分があります。

ジェームズ・イハ(以下J)たしかにそうだね。そういったパワー・ポップ・バンドから、決定的な影響を受けている。だけど、ブロンディとかバズコックスといったパンク・バンドがインスピレーションになった部分もあるし...。あとナックとか...、まあ、彼らはパンク・バンドじゃないかもしれないけどさ(笑)。そういったものの、モダン・ヴァージョンが作りたいと思った。

まさに。たとえば1曲目「Kind Of A Girl」の最後のリフレインとか、音響効果的にもすごくモダンで...。

J:そう、あそこは音にも凝ったし、テイラー(・ハンソン)、アダム(・シュレシンジャー)、そしてぼく、みたいに、みんなで順番に歌ってるんだ。楽しかった。なんか、キュート、みたいな感じで(笑)。ヴィデオでも、そうなってただろ?

日本盤CDにエンハンストで入ってる、あのヴィデオ、おもしろかったですー。

J:あれはさ、本当に極初期の(70年代後半くらいの)ミュージック・ヴィデオを模してみたんだ。バンドがTVショウに出て、口パクでライヴをやってる、みたいな。でもって、そういった昔のバンドのヴィデオが偶然発見された、みたいなノリを出したかったんだよね。

ヴィデオは2曲入ってましたが、その2曲目で司会者が「そしてもう1曲、ティンテッド・ウィンドウズにやってもらいましょう!」みたいに言ってるんだけど、ちょっと投げやりというか、変に堅苦しいところが、またリアルで(笑)...。

J:実は彼、けっこうバリバリにやってるヴィデオ・ディレクターなんだよ(笑)。いや(これらの)ヴィデオを監督してるわけじゃないけど、友達だから頼んで出てもらった。だから、ちょっとぎこちない感じで、こわばった...昔のああいうテレビ番組の司会者みたいなタイプの人にあの役をやってほしくてさ。そういうファニーだけど、ちょっとストレンジなユーモアを込めたかった、というのはあるね。

アルバムをアダムと共同でプロデュースしたあなたに...って感じでおうかがいしたいんですが、「Cha Cha」などあなたの書いた2曲は、アルバムのなかでちょっと変化球的な位置にありませんか?

J:たしかにそうだね。ぼくが書いたもう1曲「Back With You」は、ビッグなバラードって感じだし。このアルバムに広がりを持たせてるというか、一風変わった形で、このアルバムに収まっているよね。

ハンソンの人と、いつかなにかやるかもしれないってことは、以前アダムに聞いてました。ぼくは彼らの曲すごく好きだったけど、単なる一発屋とかアイドルとか、そんなふうに見られてる危惧も...。だけど、彼ら、本当にいいことやってるし、あのヒットしたアルバムの『Middle Of Nowhere』って、タイトル自体よかったですよね。

J:そう、本当にそうだよ! バンドがスーパー・ビッグな...モンスター・ヒットを出したときは、そうなっちゃうももんだよね...。すべてが変わってしまうというか。彼らは若いときに(インディーで活動していたころから)すごく正直な音楽をやって、そんな目にあった。だけど、彼らはずっと正直なミュージシャンでありつづけているし、テイラーはすごく正直でいい声を持ってるし。素晴らしいバンドだと思うよ。

あなたは、イリノイ州シカゴ生まれですよね? 以前ヴェルヴェット・クラッシュというバンドのリック・メンクにインタヴューしたとき...彼もイリノイ出身らしいんですが、チープ・トリックは、日本やアメリカでビッグになる前から、地元のヒーローみたいな感じで好きだったと言ってましたが...。

J:ぼくもそうだよ。もうチープ・トリックを聴きながら育ったと言ってもいいくらい。ぼくにとって、『ライヴ・アット武道館』は完全にクラシック・レコードだし、それから、もうずっと...。まあ、世界中にそういう人はたくさんいるだろうけどね(笑)。バーニーのドラム・パートは、もうそらで憶えてるくらいだし...。彼は(カナダの)ラッシュみたいなタイプの...派手なおかずを見せびらかすようなドラマーじゃなくて、やることだけきっちりやりつつ、それでしびれるほどロックしてる...というドラマー。最高だよね」

最近、日本にはふたつのジェネレーションのパワー・ポップ・ファンがいるように思えるんですよ。ひとつは、このティンテッド・ウィンドウズを大喜びで聴いてしまう、ぼくのような世代。そして、より若い世代...ファウンテインズ・オブ・ウェインとウィーザーが最もでかい、みたいな...。アメリカでは?

J:いや、アメリカには...、そんなに大きなパワー・ポップのムーヴメントはないし(笑)。

たしかに(笑)。でも、ウィーザーはビッグでしょ?

J:そう、大成功してるよね。だけど(アメリカでは)誰も彼らのことをパワー・ポップ・バンドととらえてない'(笑)。ぼく自身は、彼らもある意味、まあ、パワー・ポップ・バンドといっていいと思うんだけどね...。

このアルバムには、パンクの要素もあるとおっしゃってましたが、アダムの書いた「Can't Get A Read On You」とか、かなりバズコックス...モダンなバズコックス、って感じじゃないですか?

J:まさに。シンプルなコード、構成...。でもって、わざと速いテンポでやってみた。ラモーンズみたいな感じで...。だから、パンクなんだけど、セックス・ピストルズみたいじゃないというか(笑)。

*なお、最初のQ&Aのみ共通で、あとは違う内容の、別ヴァージョン・インタヴュー記事が、CDJournal.comに掲載されています。イハ個人の話題は、そちらで!

取材、翻訳、文/伊藤英嗣

TINTED WINDOWS 2010.1.15. @渋谷 Duo Music Exchange

1. Take Me Back
2. Canʼt Get A Read
3. Nothing To Me
4. Dead Serious
5. Messing With My Head
6. New Cassette ※アルバム未収録曲
7. Back With You
8. Cha Cha
9. We Got Something
10. The Dirt
11. Kind Of A Girl
12. Doncha Wanna
15. Let Me Out ※ザ・ナックのカヴァー
<アンコール>
15. I DonʼT Mind ※バズコックスのカヴァー
16. Without Love

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